2010年上海で万国博覧会が行われます。その上海から200キロほど離れた浙江省の杭州に都市の「緑色の肺」と呼ばれる観光地があります。それは、西渓湿地です。今日の番組では、この西渓湿地をご紹介します。
中国古代の7つの古都である杭州は風景のきれいな西湖で名が知られています。西湖の西から5キロぐらい離れたところに、西渓湿地があります。上海から杭州まではバスで2時間ほど、杭州からは西渓湿地行きの観光バスがあります。
西渓湿地には西渓国家湿地公園があり、面積はおよそ10平方キロメートル、ここは生態資源が豊富で、自然景観が昔のまま残っています。かつてここは、西湖、西レイと共に、杭州の三つの観光スポットでした。この公園は、国内で、都市湿地、農耕湿地、湿地の文化を兼ねた唯一の湿地です。
西渓国家湿地公園には、6つの川があり、西渓独特の景観を形成しています。ここの川の総延長は100キロで、面積の70%が川、池と沼です。このような風景は、大都市の町に慣れてしまった人にとってはとても魅力的です。
木の舟に乗った上海からの陳さんは、撮影が大好きで、杭州の西湖に何度も来たことがありますが、今回、初めて西渓湿地に来たそうです。これまでに見たことのない風景をカメラに収め、上海に戻ってから家族や友達に見せると話してくれました。
西渓国家湿地公園は陸地の緑化率は85%となり、植物は262種類、鳥類は112種類、ここに生息している鳥類は杭州の鳥類の50%近くを占めています。
西渓湿地の水質を改善するため、西渓湿地公園は、さまざまな魚、数百万匹を放流しました。このように、現地の人は環境を大事に保護しています。今、杭州から西渓国家湿地公園に行くと、気温は市内より2-3度ぐらい低く感じられます。ここの空気も非常にきれいなため杭州の「緑色の肺」と例えられています。
昔、西渓は知識人が隠居した場所です。今、西渓国家湿地公園には、建物数十箇所に古代知識人が書いた楷書の文字などが残っています。ここの建物では、清の時代の役人、学者でもある高士奇の別荘が最も大きなものです。白い壁と黒いレンガ、扉にはたくさんの額がかけられています。
きれいな風景と昔の文化財の跡のほか、西渓には独特な風習があります。毎年、端午節になると、西渓の各村のドラゴンボートがここに集まりレースを行います。村人は、それぞれ違った装飾のドラゴンボートを作り、大会に参加します。毎年この時期になると、国内外の多くの人々がはここにやってきてドラゴンボート大会を見ます。このほか、舟に乗って、現地の料理を食べながら、湖の風景を鑑賞することもできます。このような料理は、中国の南方地域で、船料理と呼ばれています。
西渓湿地の内河渚(しょ)という街では、ここの独特な軽食、蒋村コウ団という餅が食べられます。また、ここで現地の地方劇、越劇、そして地元の講談、つまり評書を楽しむことができます。この内河渚(しょ)街で、村人がかごを編んでいる風景がよく見られます。このかごについて、現地住民の蒋ショウさんは、次のように紹介してくれました。「ここのかご作りの技術は、100年以上の歴史があります。蒋村の柿がとても有名で、かごに柿を入れます、大抵1キロぐらい入れられます」
湿地の役割を十分に利用するため、杭州市は、西渓湿地で、中国湿地博物館、湿地研究センター、科学知識普及センター、鳥類観測エリア、湿地植物園、環境、気象観測ステーション、野生動物保護センターなどを設置しました。
西渓湿地は、これまでに、環境や生態を保護する分野でいろいろな経験を積み重ねてきました。これについて、中国国家農業局の応紅副局長は、次のように述べました。「観光客として、ここに来ると、すぐここの美しさが感じられるでしょう。実は、私たちは観光客がやって来ることで、自然を保護するという意識を伝えることができます。また、人々の環境を保護への責任感を呼び起こすことも大事です」
今、西渓湿地は青少年たちが、自然を理解する野外の学校であり、彼らがここを見学すれば環境保全という意識が芽生えるでしょう。(担当:任春生)
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