今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
9月ですね。林涛も最近は、肉よりも野菜を多く求めるようになりましてね。そこで、また朝市に出かけました。ま、食べたい野菜は色々とありましたが、酒の肴にするのが目的ですから、いくらか迷ったものです。そして最後に見事な大根を買い求め、漬物にしようと思いながら、家には家内が前日買った胡瓜とニンジンがあるので、浅漬けがいいと思って帰宅しました。
大根は漬物としてもいいし、煮物にしてもいいんですか、うちでは材料が足りません。小さいときだけでなく、その後も日本に行っておでんを食べ、中でも大根とちくわをもらって日本酒をかなりのんだこと、生まれ故郷の京都の名物である千枚漬けのうまさを思い出し、千枚漬けはおいしい代わりにかなり高いので手がでないことなど、色々思い出します。ま、そんなことは別として、この林涛は早速、冷蔵庫から、胡瓜とニンジンを取り出し、大根もぶら下げて台所へ。
まずは材料の水洗いをしてから、大根は皮をむいて適当な厚さの短冊切りにします。胡瓜は塩でもんでから、水でさっと洗って乱切り、ニンジンは皮をむいたあと、適当な棒切りにしておきます。それをボールにいれ、塩とお酢を適量、それに小さな唐辛子を切っていれ、手で簡単に混ぜてから、ポリ袋に移し、また軽く揉んで冷蔵庫にしまいます。そうですね、私は30分ぐらいでポリ袋を取り出し、中身をまたボールに入れてしすこし揉み、それを絞って深めの皿に盛ります。縛りだした水は捨てませんよ。それは冷蔵庫に入れ次にキャベツの浅漬けを作るときに使いますから。
で、浅漬けはこれで出来上がりですが、時にはその上に中国パセリを刻んで振りかけたりします。面白い味ですよ。この漬物をぽりぽりかじりながら酒を飲むのです。あっさり過ぎると思ったら、魚の缶詰をあけたりします。そうですよ。酒の肴は一品では足りませんよ。
今日のこの時間は、中国の成語をいくつかご紹介しましょう。
まず最初は、「晏子春秋」から「内助の賢」
実は日本のテレビで「功名が辻」という時代劇のドラマをやっていましたが、日本には「内助の功」という諺がありますね。よく似ているので調べてみたんですが、「内助」の二字だけが同じでした。ま、その話しはいつかのことにして、はじめましょう。「内助の賢」
戦国時代の斉の国に晏子という宰相がいた。晏子は背がとても低くかったが,政(まつりごと)ではかなりのやり手であることから、この時代では知られていた。
と、ある日、晏子は馬車で出かけた、馬車の御者は体が大きく、それに引き換え晏子は小柄であったことから、この御者は露骨には出さないが、相手が一国の宰相であっても、いくらか見くびった態度をとる。しかし、当の晏子はそれがわかっていても気にしない振りをしていた。
で、その日も、馬車が町を通り、御者の家の前を通り過ぎたが、ちょうどそのとき、御者の妻が家の中から外を覗いていた。そのとき、背の高い夫が、いつものように背の低い晏子を乗せて胸を張って馬車を走らせていたので、顔を顰めた。
さて、その日の夜、御者の夫が家に帰ったあと、妻がいう。
「晏子さまは、背がとても低いのに斉の国の宰相となり、その名は天下に知られ、まわりの諸侯は晏子さまをとても尊敬してるわ。でも晏子さまは少しも驕らず、とても謙虚に振舞っておられる。その一方で、お前さんは何ですか?背が高いからといって背の低い晏子さまの前では胸を張っていますけど、あの方の馬車を走らせるだけのものに過ぎないじゃないの。いつも自分のうわべだけを考えているから出世できないのよ。本当にあなたの妻として恥ずかしいわ」
これを聞いた御者はびっくり。何か言い返そうとしたが妻が泣いてしまい、自分でよく考えて見なさいとまた言われたので、黙ってしまった。そしてその夜はなかなか眠れず、妻の言うことはまことに理にかなっていると、これまでの自分の考えを後悔し始めた。
それからというもの、自分の間違った考えを悟ったこの御者は、過ちを改めるため、普段から謙虚に振舞うことに努め始めた。この御者の変わりよう気づいた晏子は、馬車に乗っているときに、御者に聞いてみた。
「近頃、お前の様子は少し変わったようだが、どうかしたのか?」
「これは宰相さま。これまでのご無礼をお許しくださいまし」と自分の妻に言われたことなどをありのままを話し、そしてまた晏子に許しを乞うた。
これをきいた晏子は、笑って答える。
「はははは!お前がそれを悟るとはたいしたことじゃ。己を過ちがわかり、それをすぐにでも改める行いはとてもよい」
「恥ずかしいことでござります」
「なになに。それにしてもお前はよき妻を持ったものじゃのう。賢く物分りがよい」
「とんでもござりません」
「これも賢い妻のおかげじゃと思え」
「はは!わたしめもそう思いまする」
こうしてこの御者は、人が変り、晏子は自分の誤りをいち早く認め、それをいち早く直そうとしたこの御者を他の目で見るようになり、のちにこの御者を抜擢したので、この御者は出世したという。
その後、このことが言い伝わり、家に賢い妻がいて、夫の出世と成功を助けたことを「内助の賢」というようになったそうな。
次は、「路地」という昔の書物から「千里はるばる鵞毛を送る」です。
これは、遠く千里の地から送られたものは、鵞毛といえども気持は重いという意味でしょう。ここでお断りしておきますが、ここで言う鵞毛とは白鳥の羽毛のことです。白鳥は中国語で「天鵞」とかいて「tian e」」といいます。
「千里はるばる鵞毛を送る」
それは唐の時代。当時の地方の役人は都にいる皇帝に貢物をする慣わしがあった。そこである国境で役についていた長官が、緬伯高という部下に白鳥を送りにやらせた。
しかし、そこから都まではかなり遠く、そのうちに白鳥が汚れてしまった。そこで川で白鳥を洗おうとしたが、どうしたことか、白鳥は翼を広げて飛んでいってしまったので、緬伯高は大慌て。「どうしよう。どうしよう」とおろおろしていたが、どうしようもない。そしてとうとう泣き出したあと、川原に白鳥の羽毛が落ちているのを見て、仕方なくそれを拾い都の長安への旅を続けることにした。
こうして長安についたあと、緬伯高は各地から同じように貢物を持ってきた使者たちと共に、宮殿で皇帝に謁見した。そして他の使者たちが貢物を披露した後、ついに緬伯高の番が回ってきたので、彼はおずおずと前に出た後、懐から小さな包みを取り出し、それを広げて、べそをかきながら皇帝に差し出した。これを受け取った皇帝の側近は、これはかなり軽いものだを首をかしげながらその袋を皇帝に渡した。
こちら皇帝もいくらか不思議がり、早速袋を開けてみると、一本の羽毛だけが包んである。これを見た緬伯高は急に土下座して「申し上げまする」と泣きながら事の仔細をありのままに話し出した。
これを聞いた皇帝は、しばらく黙っていた。これに緬伯高はびくびくしながらこれは陛下の怒りを買い、自分がひどい目にあうどころか、自分の主である長官も無事ではなくなると思っていたが、不意に皇帝が言い出した。
「朕は白鳥というものを見たことがない。これが白鳥の羽毛か。分かった分かった。これまでの道のり、大変であったであろう。遠く千里の地から送られたものは、羽毛といえども気持は重いものじゃ。ご苦労であった。都でよく休み、土産などをもちかえり、そちの主に伝えよ。貢物は朕が確かに受け取ったとな」
こういって皇帝は、褒美として金銀やきれいな絹などを緬伯高に持ち帰るように言ったという。
このことが知れ渡り、「千里はるばる鵞毛を送る」という成語が生まれたとさ。
よかった。よかった。ねえ!!
今度は、「功を弄して拙と成る」についてのお話です。
「功を弄して拙と成る」
時は、北宋時代、画家で孫知微と言う人物がいた。彼は人物画が得意だった。
と、ある日、孫知微は成都にある寿寧寺から「九耀星君図」を描いてほしいと頼まれたので、これはいいことだと思って真剣に描き始めた。彼の筆による人物はまさに生きているようで、その衣装もひらひらと風に舞っていて、仙人がこちらに来るような感じがした。そしてこの絵は、最後に色をつけるだけになった。
この日、孫知微の酒友達が何が何でも飲みに来いと誘いに来たので、彼は仕方なく筆を置いた。そして自分の描いた絵を暫く見つめ、悪くはない思い、そばで見ていた弟子たちに「この絵の線だけはわしが書いておいた。わしはこれから出かけてくるが、後は色を塗るだけだ。いいか、気をつけろ。間違えたりしてはいかん。夜には戻ってくる。それまでにちゃんと仕上げておくんだぞ!いいな」と言って、友達の家に飲みに出かけた。
こうして師匠の孫知微が出かけたあと、弟子たちはこの絵を囲み、師匠の筆の運びやこの絵の作りのすばらしさに何度も見入り、何が学べたかを話し合っていた。
弟子たちがいう。
「みてみろ。この絵の人物の表情は生きているようで、長いひげが揺れて、微笑んでいるが、威厳があるぞ」
「足元には瑞雲が浮かび、まさにすばらしい姿だ。本当に粛然としている」
これを聞いた、いつも違ったことを言って、人目を引こうとしているある弟子は、それまではニヤニヤして黙っている。これを見たほかの弟子が不思議がって聞く。
「おい。どうした?今日はいやにおとなしいじゃないか?それとも、この絵に足りないところでもあるというのかい?」
これを聞いたその弟子、いつものようにふんぞり返り、みんなを見回した後目を細めいて言う。
「この人物の傍に控えている童子の表情は、真に迫っているけどね・・」
「おいおい!そのけどねというのはなんだよ?」
「この童子が手にしている花瓶を見てみな」
「この花瓶がどうした?うまく描かれているぞ」
「いや。師匠さまの描き方はうまいのは当然だ」
「じゃあ、どうしたっていうんだよ」
「いやね。この花瓶はうまく描かれているけれど、なんか物足りないんだよ」
「なにが?」
「だって、師匠さまは、花瓶を書かれてからはいつも一本の花を挿されるだろう?」
「う潤オ~ん。そういえばそうだな」
「だからさ、花が挿してないということは、師匠さまが急いで出かけられるので、忘れられたのか、または帰ってこられてから花を足されるのかもしれないんだ」
「うーん。そういうこともあるかも知れないけど。さっき師匠さまは出かける前にじっとこの絵を見ていられたぞ」
「それはそうなんだが、忘れられたのかもそれないぞ」
「そうかな??」
「そうだと思うんだ。忘れておられなくても、帰ってきてから花を足すおつもりなんだと思う」
「お前は自分勝手なこと考えてるんじゃないか?」
「そんなことはない。私は師匠さまのことを思って言ってるんだ」
「だから、お前が師匠様の代わりに花を描いておこうというのか?」
「そのとおり」
とこの弟子は早速筆をとり、その花瓶の口に赤い蓮の花を描いた。
さて、夜になって酒を楽しんだあと師匠の孫知微が気をよくして帰ってきた。そして午後に描き残した絵をみてみると、なんと童子の手にした瓶に花が描かれている。これを見た孫知微がそれまでの顔色を急に変えた。
「なんということだ!誰がこんなことをしたんだ。これは蛇に足を書き加えると同じだ!この絵は台無しになったぞ!これこそ、うまくやろうとし返ってことを悪くしたというもの。この童子の手にする宝の瓶が、つまらない普通の瓶となったのだぞ!全くの笑い話だ!本当にばかばかしい!なんということだ!」
師匠の孫知微はぶりぶり怒り、絵をわしづかみにすると、その場でびりびりと破って捨ててしまったわい。
これを見た弟子たちはびっくり仰天。その場に立ち尽くして呆然となり、また、勝手に瓶に花を描いた弟子は、真っ赤な顔してうなだれてしまったという。
上手にやろうとし、なんと返ってしくじってしまい、叱られたのですからね!!ホント。
そろそろ時間のようです。ではまた来週。
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