廬山(ルーシャン)は中国江西省九江市南部にあります。1996年、廬山自然公園としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。また地質学的にも珍しい地形であることから「廬山第四紀氷河地形国家地質公園」としてジオパークにも指定されており、ユネスコの世界ジオパークネットワークにより認定されました。
廬山の別名は「匡廬」といいますが、こんな伝説がこの地に残されています。古代中国の殷周の時代に、匡という苗字を持つ7人の兄弟がおり、この地で粗末な小屋を建てて隠遁生活を送っていましたが、その後彼らは仙人となり、住んでいた小屋が山になったそうです。このような言い伝えから、「匡廬」という名が付けられました。
廬山は北は長江に面しており、その広さは長さが約25キロ、幅が約20キロ、山の大部分は高さ1000メートル以上で、主峰の漢陽峰は1474メートルに達しています。しかも多くの山はなだらかな斜面を持たず、断崖絶壁が聳え立っています。その様子がまるで天から飛来してきたかのように見えるので、天外飛峰という名でも呼ばれています。白居易の詩で有名な香炉峰や五老峰などの峰々が作る風景が、雄大にして奇絶、険阻かつ秀麗であることから、古来より「匡廬奇秀甲天下」(匡廬の奇秀は天下一である)と称えられています。連峰は延々300平方キロメートルも続き、谷間には多くの滝と急流があり、四季を通じて鬱蒼とした緑に覆われています。この廬山では川、湖、山が渾然一体となった、雄大で険峻、剛と柔とを兼ね備えた景色を楽しむことができます
山々が常に雲に覆われていることから幽玄さをかもし出し、また、泉や滝、不思議な形をした岩があちこちにあることから見どころも多く、川や湖が多いので廬山の夏は涼しく過ごしやすい場所です。また雨が多く降り、春の終わりから初夏にかけて、谷間一帯が雲や霧に覆われ、その間から峰々が見え隠れます。そんな様子が廬山に神秘的な雰囲気を高め、廬山の雲海はまさに壮観です。
廬山の森林率は実に76.6%に達していることから植生も豊かです。また、夏もさわやかで過ごしやすい気候であることから、国内有数の避暑地、療養地としても知られ、莫干山・北戴河・雞公山とならぶ中国四大避暑地の一つとなっています。
歴代の詩人や学者もその名声を慕って廬山に登り、数千もの詩歌や詞賦を残しています。中でも陶淵明、李白、白居易、蘇軾らが非常に有名です。東晋の田園詩人で九江の出身の陶淵明による「飲酒二十首」其の五に、「菊を採る東篱の下、悠然として南山を見る」とうたわれたり、宋代の詩人蘇軾の『題西林壁』で描かれた名句「廬山の真面目を識らざれば、只だ身の此の山中に在るに縁る」は非常に弁証法的哲理に満ちています。
廬山には早くから「神仙」の伝説が残されており、晋代の高僧慧遠は、東林寺を建立し「浄土法門」宗を創立しました。また白鹿洞書院などの儒学学校が残され、廬山は中国の封建時代における重要な宗教上の聖地と儒学文化教育の中心となりました。廬山は古くから仏教や道教の聖山としても有名で、世界遺産には自然遺産としてではなく、文化遺産として登録されています。
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