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九寨溝

2009-06-19 11:10:21     cri    

 九寨溝は黄竜とともに、1992年にユネスコの世界自然遺産リストに登録されました。1997年には自然環境保護を目的としたユネスコ「人と生物圏」計画にも加入しました。

 九寨溝は、四川省の北部、南坪県の岷山山脈の奥深いところに位置し、総面積約6万ヘクタールにも及ぶ渓谷に、青い宝石のような池や湖が点在する広大な景勝地です。ここには則査窪溝と日則溝という2つの谷があり、これらが合流して樹正溝と呼ばれる谷になり、大きなY字型をした渓谷となっています。この渓谷部分だけでも全長60キロほどになります。

 九寨溝の一番の見所といえば、やはり翠海(ツゥイハイ)と呼ばれる湖や滝でできた水の世界でしょう。九寨溝に広がる3つの渓谷に沿って、原生林の中に大小108の湖と17の滝があり、エメラルドグリーンやコバルトブルーに輝く澄んだ湖面に映る山々は「童話の世界」とも称されるほど美しさです。この108個の湖には、この土地に暮らすチベット族の間にこんな伝説があり、それによると昔、山の女神が天界から落とした鏡が108つに砕け散ったことから108つの湖になった、と言われています。

  

 九寨溝は、地理的には北は甘粛省と青海省に接しており、チベット族が多く住んでいますが、他にもチャン族、漢族、回族なども暮らしています。もともとこの土地にはチベット族の村が9つあったことから、九寨溝という名がつけられました。そして141種類もの鳥類や、「ジャイアントパンダ」「金糸猴(キンシコウ)」「白唇鹿(クチジロシカ)」など、絶滅に瀕した動物たちが生息する場所としても知られています。

 伝説に彩られた湖面には、雪を頂き白く輝く峰や、色鮮やかな樹林、澄み切った青空といった周囲の風景を鏡のように映し出し、まるで一枚の絵画のようであり、息を呑むほどの美しい景観をつくり出しています。

 湖の透明な水の底には、まるで樹氷のような「石灰華」が沈んでいます。これは倒木に石灰が付着してできたものです。川の回りには堆積物に石灰が付着して堤ができあがり、そこには無数の小さな穴が開いています。この小さな穴に樹木の種子が引っかかり、激しい水の流れの中でも、木々が根付くことができるのです。木が育つとその周りにさらに石灰や苔がつき、そこへ植物が生えて森が広がっていきます。大自然は、人間の想像をはるかに超えた造形を生み出す、天才的な芸術家といえるでしょう。

 九寨溝の最高地点は標高3000メートル以上に達します。チベット高原に位置するこの一帯は、かつて海底だったことから石灰岩が堆積しています。そのため水には石灰質が含まれており、光の加減によって、エメラルドやトルコ石のような色に輝いたり、紺碧の空を映したりします。

  

 九寨溝は観光地であるだけでなく、植生分布も独特です。植生は立体的に広がり、さまざまな動物が共生しています。高等植物は2576種、下等植物は400種を数え、この植物が九寨溝の四季折々の色彩を作り出しています。エメラルドグリーンの水が木々の間を縫って流れる川はまさに圧巻で、落差の大きい滝は煙のようにしぶきをあげ、しばしばそこに虹がかかり、幻想的な光景を目の当たりにすることができます。また、川の流れによって運ばれてきた腐葉土に植物が根付き、独特の色の景観を見せています。このため人々はここを「五花海」と呼んでいます。

 九寨溝と同じ岷山山脈にある黄龍は、やはり石灰岩が作った景観が評価され、1992年、九寨溝とともに世界遺産に登録されました。1000以上あると言われる石灰華で造られた段丘状の池や滝が、不思議な風景を生み出しています。また、谷の奥にある黄龍寺では、毎年夏に周辺の少数民族が集まり、大きな祭りが行われます。

 九寨溝は「人間の仙境」と讃えられてきました。最近では日本からの観光客も増え続けています。

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