中国の自動車市場は2009年に世界最大規模に躍進した後、世界一の座を保っています。ただ、2011年まで続いていた右肩上がりの高度成長が終わり、今は緩やかな成長になっています。
新華社通信はこのほど、今年の中国の自動車市場を取り巻く環境の変化を7つのキーワードでまとめていました。
■1)緩やかになった成長
中国自動車工業協会の統計によりますと、今年1月から11月まで、中国の自動車生産台数と販売台数は前の年の同じ時期に比べて、それぞれ4.5%と4%の伸びとなり、通年では、延べ1900万台以上になる見込みです。
中国の自動車市場は2001年から、年平均20%の伸びが続き、わずか10年ほどの間に、年間200万台の生産・販売台数から1800万台を突破しました。しかし、2011年から、中国の自動車市場の伸びが緩やかになり、販売台数の伸びは2.45%に留まっています。専門家はこのような緩やかな成長が、今後、中国の自動車市場の基調になっていくと見ています。
■2)自動車購入制限
洪水のように増え続ける車両を前に、いくつかの大都市で相次いで自動車購入制限の導入に踏み出しました。上海と北京に続き、今年は広州も加わりました。今後も、購入制限措置を導入する大都市が増えていくだろうと見られています。
購入規制は成長中の中国の自動車産業の成長に不利な影響をもたらしますが、関係者は、購入規制に見られる自動車産業の不均衡な現状にこそ注目すべきだと訴えています。言い換えれば、自動車保有台数の増加と同時に、道路や駐車場のインフラの整備、そして、交通マナーの向上などが追いついていないことです。こうしたことこそ、自動車社会に突入した中国にとって、今後も長期にわたって立ち向かわなければならないことでもあります。
■3)在庫
2012年、自動車販売市場の成長鈍化、需要の低下及びメーカーの拠点拡大などの理由で、各メーカーの販売店とも在庫の拡大という難題を抱えています。
統計によりますと、今年10月、平均在庫が1.5ヶ月を上回ったディーラーが全体の8割も占めています。
また、欧州自動車市場の不振も影響しています。債務危機の影響を受け、欧州の自動車需要が数ヶ月続けて低下していることから、大手メーカーが相次いで、中国市場向け商品の量を拡大しました。そのため、年末の販売合戦にともなう価格競争は熾烈化しています。
■4)日系自動車のシェア低下
今年、釣魚島事件の影響を受け、日系自動車メーカーが中国市場で大きなダメージを受けました。中国の自動車市場に占める日系自動車のシェアが10月に史上最悪の7.6%にまで落ち込みました。現在、売り上げが持ち上がってはいるももの、今後の成り行きにまだ不安要素が取り除かれていないのが実情です。
一方、日系自動車の市場シェアの低下には、製品競争力そのものも指摘されています。専門家はドイツ車、アメリカ車と比べて、モデルチェンジや新技術の投入において、日系メーカーが遅れを見せていることを指摘しています。
■5)リコールに関する新規定の発表
中国国務院は10月30日に、『欠陥自動車製品リコール管理条例』を発表しました。自動車メーカーが欠陥自動車をリコールする際、不法な行為があった場合、罰金の金額だけでなく、行政処罰を加えるなどの措置も盛り込まれています。
■6)自主ブランド
中国の民族系自動車メーカーにとって、2012年は節目の年になりました。第一汽車グループから自主ブランド初の高級車「紅旗H7」がリリースされたのにつづき、広州自動車グループと奇瑞グループによる初の民族系自動車メーカーの連盟も結成されました。
しかし、合弁ブランド車の価格が低下しつつあることに加え、自前の研究開発力の不足が依然として民族系を悩ませています。
■7)エコカーに関する試行錯誤
中国では「ニューエネルギー車」と呼ばれているエコカーの普及に向けてのロードマップをどう描けばよいのか、2012年も議論の結論が出ていません。
ハイエンドの車種から着手すべきか、それとも、ローエンドの電気自動車も含めて、多層のレベルで進めていけばよいのか、議論がまとまっていません。
ただし、環境にやさしい自動車の製造が世界の流れになっているのは間違いないので、中国の自動車産業もこれに向けて、意欲的に取り組んでいくことが求められています。(Yan)
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