「親孝行」は中華民族の伝統的な美徳の一つです。長い間、「親孝行」に関する24の物語は広く伝われ、『24孝』は親孝行の24の鉄則とされて、人間としての基本だと言われています。しかし最近、中国では、新しい親孝行の24項目が発表され、みんなの注目を集めて話題となっています。「チャイナライフ」、今日は中国の新しい『24孝』に迫りたいと思います。
中国の古代では、親孝行に関する24の物語が広く伝わっています。これに因んで、『24孝』は中国人にとって、親孝行の模範とされています。まず最初に、この24の親孝行に関する物語を二つご紹介します。
<物語一>
昔々、中国に、潘岳という人がいました。潘さんは小さい頃にお父さんに死なれ、お母さんと二人だけで暮らしていました。めでたい事に、潘さんは科教試験でいい成績を上げ、朝廷に選ばれて役人となりました。しかし、都の生活に慣れず、潘さんのお母さんは病気にかかってしまいました。故郷に帰りたがっている母親と自分の将来、どちらを取るのか?結局、潘さんは役人の仕事をやめてお母さんと共に故郷に帰ることにしました。故郷に戻った潘さんは毎日お母さんの看病に専念しました。すると、数ヶ月後、母親の病気はすっかり良くなったのです。それにしても、都に戻らず、ずっと田舎で母親の世話をした、潘さん。
「出世のチャンスを逃して、田舎で平凡な暮らしをすることに後悔はないのか」という周りの質問に、潘さんは「都の生活にいくら慕っても、お母さんの健康と比べ、やっぱり田舎での生活は僕にとって最高なものだ」と答えました。
<物語二>
今から1000年前の中国の唐の時代、楊さんという人がいました。楊さんの家はとても貧しく、物乞いして暮らしていました。楊さんはいくらお腹が透いても、人からもらった食べ物は必ず先に親に食べてもらいます。親が食べ残ったら、自分が食べます。そして、食事の後、歌ったり踊ったりして親を喜ばせます。「あなたはまだ若いのに、なぜ外へ出稼ぎに行かないのか」と周りの人が楊さんに聞きました。すると、楊さんは「僕は一人っ子で、親はもう年を取っている。父母はいませば、遠くへ遊ばず。外へ出稼ぎに行くより、親のそばで彼らの世話をしたほうがいい」と答えました。
かなり感動的な物語ですけど。今の時代から見ると、ちょっと極端な一面もあります。実は最近、中国婦人連合会高齢者協調委員会と全国高齢者委員会などの機関は合同で「新しい24孝」を発表しました。昔の24の親孝行の物語より、これらの新しい24の親孝行の項目は時代に合わせて、現代人の生活に相応しいと言われています。具体的には、どんな項目が盛り込まれているのでしょうか。
① 常に家族を連れて、実家に戻ること。
② 祝日と休日はできるだけ親を訪問すること。
③ 親の誕生パーティを行う。
④ 出来るだけ親に手料理を作ってあげる。
⑤ 毎週のように親に電話をかけること
⑥ 親の話を根気よく丁寧に聞いてあげる。
⑦ 親にパソコンなどの使い方を教えてあげる
⑧ 親への愛と感謝を常に口に出して伝えること。
⑨ 親を伴って彼らの友人を訪ねること
⑩ 親を連れて映画館へ行くこと。など・・・24項目
2015年、中国では60歳以上の高齢者人口は2億1600万人に達する。そのうち、独り暮らしの高齢者は半分を超える。最近のあるインターネットで行われたアンケート調査では、毎年1回か半年に1回実家に戻って親を見舞いに行くネットユーザーは71.4%もいるという結果が分かった。そのうち、毎週のように親を訪問している回答者はわずか8.6%。また、実家の親への訪問回数が少ないと同時に、定期的に親への仕送りをする人もわずかしかいないという。
大都市での生活のコストが高いし(家賃や住宅、車購入の費用、交際費などなど)、新卒者や卒業したばかりの若者にとっては自分を養うことはもう精一杯のようです。また、一部の出稼ぎ者は往復の切符代を節約するため、実家に戻る回数を控えているそうです。
新しい親孝行の24項目が発表されてから、多くの議論が起きました。「24項目のうち、何項目出来るのか」というネット上でのアンケート調査では、回答者の平均は4項目でした。
そのうち、みんなが一番よく出来ているのは、「毎週のように親に電話をかけること」、次は「祝日と休日は出来るだけ親を訪問すること」、三位は「親の誕生日パーティをすること」です。一方では、みんなよく出来ていない項目のTOP3には、「親への愛を常に口に出して伝えること」、「親を連れて重要なパーティや式典に出席すること」、「親を連れて映画館へ行くこと」です。
しかし、賛成の声ばかりではなく、新しい親孝行の24項目は一部の人から批判も受けました。その主な理由は、「これらの24項目は実家が都市部にあり、比較的裕福な家族の人にとっては簡単に出来るが、実家が農村部にある貧しい田舎出身の出稼ぎ者にとっては高嶺の花だ。すると、貧しい家庭出身の出稼ぎ者は親孝行知らずと言えのか」ということですね。田舎の人は、親も貧しく、本人たちも苦しい生活の中で、毎日に追われているわけで、今日紹介したような、親孝行はしたくてもできないと言う人が、多いのが現実でしょうね。親孝行の気持ちや願いはお金で計れないけど、経済社会では、実際に親の世話をすることなどはコストが必要ですね。現実と夢に差があります。
大手ポータルサイトの「新浪(Sina.com)」が行った最新のネット投票では、新しい親孝行の24項目に全く賛成しているネットユーザーは回答者の3割。55%(半分以上)は「24項目の一部に賛成している」。39%は「自分の実際の生活状況はこのような親孝行の基準にある程度の差がある」と答えました。
やはり気持ちが大事。本人が、どのように生きているかと言うことも立派な親孝行。新しい親孝行の24項目は強制的な「基準」と思わないでください。達せないと、「親孝行知らず」とは言えないでしょう。一つの注意や目標として、常に親のことを念頭に置けば、その役割を果したと思います。人にとって親孝行のやり方や表現の仕方が違いますけど。親への恩返し、思いやりは表に出して、実際の言葉や行動で伝えてほしいと思います。(10月4日オンエア「イキイキ中国」より)
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