中国社会科学院の最新報告書によると、向こう30年、中国で高齢化が一層進む。現在、60歳以上の高齢者は1億8000万人。2030年に65歳以上の高齢者は日本を超え、世界で高齢化問題がもっとも深刻な国になる見込み。2050年に高齢化のピークを迎えるという。高齢化が進む中、いろんな社会問題を引き起こします。
一人暮らしの高齢者の悩み
中国では、一人っ子世代は30代に入り、都市部で働いたりして、故郷に残された親たちは一人暮らしの老人になってしまう。中国の伝統には「養児防老」つまり、「大事に子どもを育て、その子に老後の面倒を見てもらう」という考え方があるが、一人っ子世代にとって、夫婦両方の親、4人の面倒を見ることはとても大変。(祖父母を含むとさらにしんどい。そのうえ子供の世話をしなければならない)
一人暮らしの高齢者の一番の悩みの一つは精神的なよりどころは子供にあること。アンケート調査で、50歳以上の方に「生活の目的は何か」という質問をしたら、7割の答えが「子供のためだ」。一人っ子の世代、子供は親にとっては精神的なよりどころであり、子供が大きくなって社会人になり、親を離れると、それに慣れない親が大勢いる。子供を過保護に育て、子供にすねをかじってもらいたいと思っている親がいっぱいいる。
また、経済面では、都市では、養老保険や年金があれば、子供を離れて独りで暮らすお年寄りたちはなんとなく自由な生活を楽しんでいるが、農村部では年を取ると、農作業ができなくなり、経済面ではかなり大きなプレッシャーになっているようだ。中国では、農村部の養老保険システムは進んでいるが、不十分なところがまだまだある。
さらに、病気にかかると困る。中国では、お年寄り向けの介護サービスはまだまだ遅れている。独り暮らしのお年寄りたち、病気にかかると、非常に困る。先ほども言いましたが、精神的なよろどころは子供にある。精神的なささえがないと、孤独感を感じる。社会の変化が凄まじいので、社会や時代の発展についていけないお年寄りたちは、自分が時代遅れで、淘汰された人間だという被害者意識が増す。
高齢者にどのように接したらいいのか。
① 定期的に訪問すること。
② 定期的に電話をかけること。
③ 社会としては、住宅団地やコミュニティの高齢者クラブを設立し、高齢者同士の交流を促がす。
④ ボランティアサービスを充実させること。
一人暮らし高齢者という社会問題に対する各国の対応策:
① 韓国:40代の女性を招いて、生活指導係を設置し、定期的に一人暮らしのお年寄りに電話をかけたり家庭訪問したりして、お年寄りと話し合う。韓国には、このような生活指導係りは7000人いるという。
② 日本:ペット。電子ペット犬や介護ロボットの開発など。
③ イギリス、老人村を設立。55歳以上の方が村の住宅に住むことを申請できる。村では車の時速は10キロを超えてはならないなど、お年寄りを守る規則が実施される。
④ アメリカ:アンケート調査では、85%の高齢者は自宅で晩年を送ることを希望。新型モニタリングシステムの整備が進められている。住宅団地の病院や警備室はお年寄りの家庭の映像を見られる。万が一一人暮らしの高齢者が病気で倒れたり危険にさらされたりすると、警報が鳴って関係部門が救助に当たる。(『イキイキ中国』より)
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