世界保健機関(WHO)が2010年に発表した報告書によると、中国の喫煙者は3億5千万人に上る。また、中国では喫煙が男らしさの象徴とみなされており、タバコをくゆらす毛沢東やトウ少平のイメージがしばしば登場する。一方、中国では、公共場所での禁煙キャンペーンが実施され、2011年6月には教育部と衛生部が学校でのタバコ抑制活動の強化に関する意見を下達し、幼稚園、小学校、中学校、高等学校を禁煙にするようにと要求した。
それにもかかわらず、中国では、歩きタバコをする人をよく見かける。さらに、一部のレストランでは、禁煙マークの付いた禁煙エリアでも、平気にタバコを吸っている客が少なからず、周りのお客さんが文句を言わない限り、店の人は進んで止めようともしないようだ。
日本では、20歳未満の未成年者のうち、実際に隠れて吸う人たちがいるそうだが、中国では、未成年者の喫煙状況も楽観できない。中国喫煙抑制協会の最新調査報告によると、タバコを吸い始めた年齢は12歳から14歳が最も多いという。喫煙対策学内イベントが22日、北京第四中学校(高校)で開催され、全国の小・中学校に向け、「ノースモーキング運動」が呼びかけられた。さらに、女性喫煙者の増加にも要注意。
一方、世界的調査会社ギャラップはこのほど発表したところによると、中国の喫煙者人口は3億2000万人に達し、世界の3分の1を占めるとの結果が分かった。中国で喫煙が関係する疾患で1日3000人が死亡しており、現在の傾向が続けば、2050年には1日8000人に達するとみられる。受動喫煙の被害者もすでに7億4000万人に達しているという。
高級タバコが中国に数多く存在する背景には、中国の「面子」の文化が関わっている。中国では挨拶もかねて客人にタバコを差し出す習慣があり、そのタバコが高級であればあるほど、「面子」が立つと思われているのだ。特に、男性にとって、「高級タバコ」は男同士のお付き合いの重要な道具であり、見栄を張る重要なものとされている。自分で普段吸うタバコと、客人に差し出すタバコを使い分けている人もいるほどで、「友だちになってからビジネスが始まる」文化を持つ中国では、タバコは「ビジネスツール」と言っても決して大げさな表現ではない。とはいえ、中国も世界の反喫煙化の流れに逆らうことはできず、こうした文化が少しずつ様変わりしているのも事実。客人が宴席でのタバコの差し出しを拒否することが無礼ではなくなりつつある今、中国の高級タバコが姿を消すのは、もはや時間の問題と言えるのかもしれない。
何といっても、ヘルシー志向が日々高まる中国、禁煙キャンペーンの重要性は言うまでもない。時代遅れの喫煙文化やタバコ文化はいつか現代人に捨てられてしまうよう願っている。(04/19 「イキイキ中国」より)
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