皆さん、2011年はいよいよ終わりに近づいてきました。この一年間を振り返ってみると、一番印象深かったことは何ですか。この一年、東日本大震災による津波、そして放射能、世界にも影響を及ぼしました。世界が今後、どうなるのか、予測がつかない時代になりました。自然災害が多く、世界経済の不況も続いていますから。正直、2012年に対しては期待半分、不安半分の気持ちですね。それにもかかわらず、生活にあるささいな楽しみを覚えなければなりません。

　さて、チャイナライフのキーワードを振り返ります。今回は、この一年、中国人の恋愛、結婚に関するホットな話題を振り返りながら、＜チャイナライフ恋愛・結婚キーワード2011＞を発表します。

　第5位【裸婚】

　2011年、中国の恋愛や結婚に関するホットな話題に「裸婚」は欠かせません。「チャイナライフ」、中国人恋愛・結婚キーワード2011、第5位は「裸婚」です。

　｢裸婚｣という言葉は、3年前の2008年に初めてインターネットに登場しました。マイホームやマイカーどころか、披露宴もなく結婚指輪もない、ただ入籍手続きをするだけの｢素朴な結婚｣を指します。今年、中国では｢裸婚時代｣というドラマが各地でオンエアされました。このドラマは高い視聴率を得て、｢裸婚｣は再びホットな話題となり、様々な議論を招きました。このドラマのオフィシャルサイトで行われたアンケート調査によりますと、裸婚に賛成する回答者は43％で、｢絶対にいやだ｣と答えた人は47％ということです。どちらの意見も半々ですね。金融危機による不況が続き、就職難や結婚難などの要素も加わって、都市部の若者たちは様々なプレッシャーに晒されています。やむを得ず｢裸婚｣を選んだ人が増えています。

　でも、中国の伝統的な考え方には、｢成家立業｣、つまり一家を立てるという言い方があります。結婚はマイカーやマイホーム、貯金によって成し遂げるものではありませんが、ある程度の物質的な基礎がなければ、家計はやっぱり苦しくなると思いますね。純粋に愛を求めるために、裸婚を選んだ人もいるかもしれませんけど、今の時代では、伝統的な考えに縛られ、より大きなプレッシャーに晒されそうですね。ドラマの主人公も結局現実に負けてしまいました。

　第4位【新婚写真】

　チャイナライフ中国人の恋愛・結婚キーワード2011、第4位は「新婚写真」。

　中国では、新婚写真と言えば、二つあるんです。一つは入籍手続きをする際に必要な、結婚証明書に貼るための証明写真。赤地に二人の胸から上の姿を映したもので、とても正式な感じです。もう一つは、披露宴の会場を飾るための新婚写真で、数百枚以上も撮った中から、映りのいい数十枚選びます。大きく引き伸ばされポスターのようになっていて、綺麗なお化粧と衣装、ほとんどスターかと思うぐらい豪華なものですね。西洋風の白いウェディングドレスのほか、中国の伝統的なチャイナドレス、若しくは昔の軍服など、いろんな衣装がありますし、いろんなジャンルや場面設定があります。

　しかし最近、新婚写真に変化が現れています。個性のアピールとして、新婚さん二人の好きな場所や、記念意義のある特別な場所で撮影が出来ますし、化粧も厚化粧ではなくて、自然なムードに仕上げます。結婚を迎える二人のデートの記録みたいなもんですね。二人の愛の軌跡といった写真集とも言えますね。

　第3位【家庭内暴力】

　チャイナライフ中国人恋愛・結婚キーワード2011、第3位はちょっとショッキングなことです。「家庭内暴力」、いわゆる｢ドメスティック・バイオレンス｣です。

　｢家庭内暴力｣とは、名前どおり家庭内で行われる暴力行為のことです。配偶者による暴力、 夫から妻へ、若しくは妻から夫へといった暴力のほか、親から子供への児童虐待、子から親へ、長子から下の子へ、孫から祖父母へといったさまざまなパターンがあります。同居関係にある配偶者や内縁関係の間で起こる家庭内暴力のことを、｢ドメスティック・バイオレンス｣と言い、「ＤＶ」とも略称されています。

　今年、中国のカリスマ英会話教師の李陽さんのアメリカ国籍の奥さんが中国版ツィッターのミニブログで、自身の殴られた写真を掲載し、夫の家庭内暴力を訴えました。知的で優しそうに見える教育者が家庭内での豹変、中国で大きな話題となりました。この事件を通じて、家庭内暴力に再び人々の注目が集まっています。

　残念なことに、中国では、ＤＶの発生率が高いです。中華全国婦人連合会のアンケート調査によると、中国でＤＶの発生率は35.7％で、9割以上が夫から妻への暴力だそうです。また、アンケート調査を受けた女性の16％が｢配偶者からの暴力を受けたことがある｣と答え、5割以上の女性犯罪者、8割以上の女性殺人犯の犯行はＤＶを受けたことと関係があるということです。また、家庭内暴力は中国人女性が自殺する最大の原因となっています。

　これは「男尊女卑」、｢三従四徳｣、つまり女性は、嫁にいくまでは父親に従い、嫁いだ後は夫に従い、夫の死後は子に従うという封建思想に関わっていると思いますね。今回、李陽さんのＤＶ事件をきっかけに、中華婦人連合会は全国人民代表大会常務委員会と協力して｢反家庭暴力法｣、いわゆる｢ＤＶ防止法｣の起草に取組みかかり、いま、この法律は論証段階に入っています。

　第2位【お見合い番組】

　チャイナライフ中国人恋愛・結婚キーワード2011、第2位は「お見合い番組」です。

　確かに、この一年間、テレビをつければ、いつでも何かしらのお見合い番組がやっていると言うくらい、沢山のお見合い番組を見ることができましたね。その多くは、視聴率を得るために派手に演出され、エンタメ要素が強いです。実際に番組で出会い、結婚までこぎつけたカップルはほんの一握りに過ぎないということですよ。出演者の多くは条件がとてもいいのに、結婚相手を見つけられないなんて、おかしいなどとやらせを疑う視聴者もいますね。しかし、それらの番組の視聴率は緩やかながらも上昇していて、その人気は衰える気配はないようですね。

　しかも、出演者は中国本土に限らず、香港や台湾、シンガポール、タイ、韓国、アメリカなどに拡大し、最近日本人の出演者も現れました。グローバル化していますね。番組に出ていた若い女性にとって、幸せの前提条件は「お金」、「物質」ですね。とても現実的です。でも、これはある程度、いま中国の若者たちの恋愛観を現しているのではないかと思います。

　生活レベルの向上によって、理想の相手を探すことがますます難しくなっているようですね。「条件」ばかり優先しないで、気持ちも大事にしてほしいです。生活が便利になった一方で、人間の生活圏、人との付き合いの範囲が逆に小さくなってしまっているんじゃないかと思います。このようなお見合い番組の氾濫は、人々に間違った価値観を伝える恐れがあります。でも、来年から、中国のエンタメ番組の調整策が試行され、お見合い番組の減少も予測できますね。

　第1位【結婚できない男】

　いよいよ第1位の発表です。チャイナライフ中国人恋愛・結婚キーワード2011、第１位は「3000万人の結婚できない男」です。

　今年4月に発表された中国の第6回国勢調査によると、いま、中国の男女性別の出生率は118に達したことが分かりました。つまり、100人の女性が生まれることに対し、118人の男性が生まれることになるということです。この出生率で試算すると、10年後の2020年、中国では、お嫁さんがもらえない男性は3000万人から4000万人近くに達し、大きな社会問題を引き起こすのではないかと見られています。

　これはやっぱり、昔からの男尊女卑の考えによるものでしょう。一家の血脈を継ぐため、女の子より男の子がほしいという考えですね。しかし、男の出生率が高ければ高いほど、男女の比例が崩れてしまい、いろいろな社会問題になりますね。中国では、一人っ子政策が実施されていますので、結婚できない男たち、年が取れば取るほど、養老問題も深刻化することが懸念されています。また、女性の誘拐事件や、悪質な暴行なども次第に増える恐れがありますね。ただの結婚なんではなく、治安面の不安もあります。3000万人の男性が余ってしまう。これをザッと聞いて、深刻な社会問題ですが、これをきっかけに、男女割合の格差拡大に歯止めをかけ、女性の社会地位の向上や、教育と就職の権利を確保することに取り組んでほしいですね。

　以上、この一年、中国人の恋愛、結婚に関するホットな話題を振り返りながら、＜チャイナライフ恋愛・結婚キーワード2011＞を発表しました。来週は、中国の都市生活にスポットを当て、＜チャイナライフ都市生活キーワード2011＞の発表となります。ぜひご期待ください。（『イキイキ中国』年末総集編より）