今回は引き続き北京の冬の風物詩にスポットを当てます。北京の冬の旬のおやつの一つ、秋の味覚、ホクホクの甘栗です。
でも、一つ不思議なことに、日本では甘栗を売っているところで、「天津甘栗」という看板をよく目にしますが、実は栗といえば天津じゃなくて、北京こそが本場なんですよ。天津は海辺の港町ですから、日本へ船の行き来もありますよね。たぶん天津港から運ばれた栗が日本で「天津甘栗」になったのかもしれませんね。でも、日本で売っている甘栗は皮を剥いてパックに入ったものもよく売られていますよね。、しかし、こちら北京の冬の甘栗は「炒める」に「栗の子」と書く、「焼き栗」です。
皮むき甘栗も悪くはないんですが、やはり甘栗は皮付きが美味しいと思います。ほとんどのスーパーのお惣菜コーナーには、屋台風のカウンターがあります。その一角に栗や胡桃などのナッツ類や、ドライフルーツが売られていて、焼き栗もここで売られています。そして、街角には大きな鍋やドラム缶で焼き立ての甘栗を売っている屋台もありますね。遠くからでもその香りがしてきます。
北京の甘栗はほとんどは、東北郊外の懐柔区で獲れる「油」に「栗」と書く、「油栗」です。サイズは普通の栗より一回り小さいんですが、甘くて剥きやすいブランドの栗です。懐柔区の「油栗」は栄養分が多くて、たんぱく質、ミネラル、ビタミンBが豊富で、中国では、昔からの美容食、健康増進食とされているんです。胃や脾臓、腎臓の機能強化に役立つと言われていますよ。
しかし焼き栗は家庭でつくるのはちょっとむずかしそうなので、家の近くにある屋台へ行って、じっくりとその作り方を観察してきました。それを皆さんに簡単にリポートしたいと思います。
まずは、大きな鍋に小粒の石を入れます。そして、10キロ分の生栗を入れて、時々砂糖水を加えたり、蒸気で蒸しながら、30分ほど炒めます。甘栗がベタベタするのは砂糖のせいで、栗の穀についていたゴミや石を取り除き、栗に艶を与えるそうです。30分ほど炒めて、ぽかぽかの焼き甘栗が完成です。でも、まだもう一つの作業があります。最後に栗を振るいのようなものにかけます。栗を振るいにかける?石を取り除くためなんです。
サイズによって値段も違いますけど、普通のは500グラムで10元で売られています。10元なら120円弱ですね。やっぱり日本より安いです。そして、包装はプラスチックの袋ではなく、必ず昔ながらの紙袋を使います。紙袋の両側には穴が開いています。それは風通しを保ち、パリパリといった香ばしさを保つためです。時間がたっても炒めたてのおいしさを味わえます。
店頭や町で、そのまま立ち食いしている人や歩きながら食べている人もよく見かけますね。寒さが厳しい北京の冬では、アツアツの栗は指先を温める防寒具にもなります。ただし、屋台で買う場合、一つ注意しなければならないことがあります。あんまりにもピカピカに光って、甘いのは要注意ですね。おいしそうに見せるためと、甘くするために、工業用の糖分添加物とワックスをたっぷりかけているそうですから。やっぱり自然な味が一番ですね。
皆さんも秋冬に北京を訪れるなら、ぜひ、正真正銘、本場の甘栗を試してみてください。北京の甘栗を売っているお店や屋台が沢山ありますけど、行列が人気の目安というわけですね。大行列が出来ている屋台やお店なら失敗が少ないと思います。
また、旧市街の中心部で、「地安門」付近にある焼き栗の老舗「秋」に「栗」、「香り」と書く「秋栗香」は特に有名なお店です。あそこの甘栗は500グラムで15元、普通のよりもやや高いですけど、いつも買い求めるお客さんが長い列を作っていて、毎日500キロ以上も売れるそうです。いつも道に沿ってたくさんの人が並んでいるんですよ。北京の焼き甘栗、伝統のおやつでもあり、お茶にもぴったり。(「イキイキ中国」より)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |