6月24日、フランスのパリで開かれたユネスコの第35回世界遺産委員会会議で、中国の杭州西湖文化景観が世界遺産に登録されました。これで、中国の世界遺産総数は41ヶ所となり、世界の第3位を占めています。中国は9年連続で世界遺産の申請に成功したんですね。詳しくご紹介しますと中国の世界遺産には、文化遺産が29ヶ所、自然遺産が8ヶ所、自然と文化の総合遺産が4ヶ所あるということです。
今回登録された杭州の西湖は文化景観に属しています。選ばれた理由として、「10世紀以来、西湖は中国の伝統文化の結晶として、多くの人々に愛され、人間が憧れる楽園となっていること、。そして中国で歴史が最も長く、影響力が最も大きい文化名湖として、9世紀から18世紀にかけて、中国のみならず日本や韓国を含む東アジアの文化圏にも大きな影響を与えたことが挙げられました。
自然の美しさのみならず、文化の発展に大きく寄与したということが評価されたんです。
西湖周辺には、10ヶ所の有名な景色があります、人々に「西湖十景」と呼ばれています。これら10ヶ所の有名な景色には南宋の時代にそれぞれ漢詩のように四つの文字を使った名がつけられています。例えば「三潭映月」、「南屏晩鐘」、「断橋残雪」など、とてもロマンチックで綺麗な名前でしょう。名前とその意味を知れば、また景色の楽しみ方もちがいますね。
そのほか、西湖にまつわる、いろんな伝説があります。有名なのは、「白蛇伝(はくじゃでん)」です。中国古代の四大民間伝説の一つとされる物語ですね。かなり古くから、小説や劇、映画などの題材とされてきましたよね。これは、蛇の化身である白娘子(はくじょうし)という娘が、人間である許仙という青年を愛し、結婚しましたが、法海という和尚に邪魔され、仲を引き裂かれたという悲恋の物語です。白娘子と許仙の出会いの場が、西湖のほとりにある「断橋」です。それから魔よけの行事、端午の節句にからんでいることから、端午の節句には各地でこの物語題材としたお芝居が上演されます。中国の人なら誰でも知っているものですね。
まさにその伝説が伝えているように、人は自然界の一つの構成部分であり、人と自然は究極において合一するものであるという「天人合一」は西湖の自然と文化景観の精神とも言えます。ところで、西湖の世界遺産への申請は1999年から始まりました。10数年にわたる申請の間に、西湖の保護対策が専門家や杭州市民の注目を集めました。
中国には有名な湖が沢山ありますけど、一部汚染がみられるものもありますね。西湖は杭州市の中心部にありますし、その保護はいっそう難しいのではないですか。西湖をよりよく守りながら、市民生活に支障を与えないため、杭州市政府は様々な対策を実施しました。例えば、西湖の平均の深さは2.5メートルですが、その回りには保護のための柵は一つも設置されていません。柵を設けると、もともとの自然景観が壊れる恐れがありますから。しかも、壁や柵がないことで、特別扱いではなく自由に利用できる市民公園となり、市民や観光客が気軽に西湖の美しい景色を楽しめます。
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