中国の伝統芸能・昆劇は今からおよそ600年前、元の時代に生まれ、江蘇省の昆山が発祥の地であることから、昆劇(昆曲)と呼ばれるようになりました。2001年にユネスコ・国連教育科学文化機関の無形文化遺産に登録されました。今、昆劇はどうなっているのでしょうか。
中国東部蘇州市の、ある小学校では、放課後や週末を利用して、昆劇の塾を開いています。きっかけは、昆劇が無形文化遺産に登録されたことです。2001年に登録されてから、中国では、さらに昆劇を大事にしようという動きが出ています。この小学校は2004年に、子どもたちを対象とした昆劇を教える塾を開設しました。
授業が終わると、子どもたちは、いつも駆け足で昆劇の教室に駆け込んでくるそうです。昆劇を教えている徐先生に聞いてみました。
「1年生と2年生は月、水、金曜日の放課後に、3年生から6年生までは毎朝、授業の前に来ますが、土曜日にも練習があって、これには全員が参加します。今は先生は5人、練習する子どもは30人ほどです。昆劇のせりふは詩歌のようなもので、その中味も、10歳くらいの子どもにはなかなか分かりにくいのですが、子どもたちは熱心に勉強していますし、良くできていると思います」
昆劇は、その曲とセリフが美しいばかりでなく、手振り身振り、歩き方、さらには目つき、視線のほうにも、いろいろ工夫が凝らされていて、とても繊細なものです。それを身につけるのはとても難しいことですが、まず、そういった動きがスムーズにできるように、足や背筋を伸ばす練習から始めるのです。この学校で昆劇を勉強している吉さん(8歳)は最初、基本練習の時、痛くてよく泣いていたのですが、今は、それが平気でできるようになりました。吉さんです。
「疲れているとき、もうやりたくないと思ったことは何回もありました。でも、劇の主人公の女性がとても綺麗な人で、自分もそういうふうになりたいと思って、なんとかやってきました」
吉さんのお父さんによれば、昆劇の塾に通ってまだ半年ですが、前より成長したということです。吉さんのお父さんの話です。
「子どもは前より、親の言うことを聞くようになりました。もともとは、子ども同士の交流、というか、友達を作ってもらいたいという思いで、昆劇の勉強をさせたのですが、勉強しているうちに本当に好きになってくれました。そして、ほかのクラス、ほかの学年の子どもたちとも友達になりました」
子どもに出世してもらい、いわゆるエリートになってもらうために、小さいときから、ピアノや絵画の勉強など、学校での勉強以外にいろいろ学ばせる家庭が増えているようです。でも例えばピアノの場合、練習は一人で行います。それに比べ、昆劇はたくさんの子どもと一緒に歌ったり踊ったりして、ほとんど遊ぶのと同じような感覚で、音楽、芸術の感覚を身につけ、伝統を引き継いでいきます。
子どもたちは将来、必ずしも昆劇と関わりのある仕事に就くとは限りませんが、小さい時から、今に受け継がれる素晴らしい文化、素晴らしい物に接することは、いい体験になり、何らかの形できっと将来に生かされると思います。そして子どもは未来を担う人材です。このように少しずつでも昆劇を学び、好きになってもらいたいです。そして今後もぜひ続けていってほしいと思います。(担当:鵬)
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