日本の国会に当たる中国の全人代・全国人民代表大会の今年の年次総会が14日に閉幕しました。会議では、中低所得者向けの住宅、中国では「保障性住宅」と呼んでいますが、その建設と供給が強調され、今後5年間の計画も発表されました。
保障性住宅、中国語をそのまま日本語で発音していますが、要するに、所得の低い人でもきちんとした家に住めるよう、社会保障の性質を持つ住宅です。
北京、上海などの大都市では、住宅の価格が上昇しつづけ、普通のサラリーマンでは全く手が出せないレベルになっています。家を買えないので、借家に住もうかと思ったら、賃貸住宅の家賃も上がり、しかも市場の管理が足りないから、家を借りる人の権利が確保されない問題もあります。地方から北京に来て3年になった柏さんは、こう話しています。
「今、賃貸マンションに住んでいますが、家賃が高くて、ほぼ収入の3分の1を占めています。北京で仕事をして3年になりますが、4回も引越しました。引っ越すたびに、部屋探しや荷物運びがとても大変でした。今年、結婚するつもりですが、まだマイホームがなくて、なかなか心が落ち着きません」
会社で働いて、安定した収入があるのですが、仕事をしてまだ3年、貯金はあまりないし、収入もそんなに高くないから、家を買うのはなかなか難しい。それどころか、賃貸マンションの家賃を払うのも楽ではありません。いま、北京や上海などの都会では、そういう状況にある人が多いようです。そういった人に向けて、政府は、公共の賃貸住宅を提供することにしました。普通の賃貸住宅に比べて、家賃が低い上に、大家さんから突然出て行けと言われたりしないので、安定しているというのが最大の特徴です。全人代と並行して開催された政治協商会議の委員、賀強さんの話です。
「普通の賃貸住宅は市場で家賃が決まるので、今、家賃はいつも上がっています。それよりも問題なのが、安心して住めないことです。というのは、賃貸住宅の市場はまだ整備されていないので、大家さんが何らかの理由で、住む人を追い出すというケースがあります。いつ追い出されるかという心配があるので、家具とか大きな電気製品を買ったりすることができず、落ち着いて住むことができません。でも公共の賃貸住宅なら、いつまでも住むことができます。仮の住まいではなく、これから長く、安心して住み続ける場所になるのです」
中国政府は今後5年間、保障性住宅の建設とバラック住宅区の改造を、合計3600万戸行う計画です。これから家がほしいという人の20%が、保障性住宅に住むようになることを目指しているということです。これについて、中国のCCTV・中央テレビの有名なキャスターで、政治協商会議の委員でもある崔永元さんは、次のように話しています。
「香港では、保障性住宅に似たような住宅が全体に占める割合は50%、シンガポールでは70%になっていると聞いています。中国の場合、20%が目標なのですが、これから経済が成長し、国がどんどん豊かになるにつれて、その割合はさらに大きくなると思います。つまり、普通のマンションではなくて、保障性住宅に住む人が、どんどん増えると思います」
今回の全人代では今年、1000万軒の保障性住宅を建設することが発表されました。これは、何を意味しているのでしょうか。中国住宅・都市農村建設省の斉次官は、このように述べています。
「今年の保障性住宅は1000万軒建設されます。一方、去年、中国で販売された住宅はだいたい800万軒でしたから、今年も同じ程度なら、住宅の供給では初めて、保障性住宅の数が普通の住宅を上回ることになります」
それに、北京でも、今年、保障性住宅の供給量は20万戸、普通のマンションは10万戸と、保障性住宅が2倍になるという住宅供給を行う予定です。これから、中国各地で、保障性住宅の建設が大規模に行われる見通しです。
そういう様々な調整を通じて、みんな、自分の所得に見合った住宅に安心して住めるようになればいいです。早く実現してほしいと思います。(編集・翻訳:鵬)
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