中国共産党中央委員会は今月中旬、経済に関する年次会議を行い、来年に向け、産業構造の調整や物価の安定、国民生活の確保、改革の推進という方針を決めました。来年は、中国の経済、社会の発展の方向を定めた第12次5カ年計画の最初の年にあたり、今回の会議で発表された方針は、これから5年間の経済に方向を示すものとなります。中でも、不動産の問題、物価に対しての関心が集中しているとみられます。
不動産、住宅については、低所得者向けの家賃の低い家や公営の賃貸マンションの建設と整備を大きく展開し、その数は、近年では最多の1000万軒に上るそうです。これについて、中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳所長は、次のように話しています。
「市場の取引と政策は、影響し合うという関係にありますが、不動産開発業者とか資金の流動には、普通でない動きが現れています。それで、市場を管理しなければなりません。今回の会議で強調された公営住宅の建設が、不動産価格を抑えるのにとても良い対策になると思います。収入の低い人でもマイホームを買うか賃貸住宅に住めるように、補助を出したり、家賃の低い家を提供したりすると、自然に、市場の需要が減ってきます。そうなると、市場の競争も緩やかになって、値段が少しずつ下がってきます。それが続くと、投機を目的にしてお金を出す人は、利益がどんどん減るから撤退していき、住宅の価格もさらに下がると思います」
最近の発表によると、11月のCPI・消費者物価指数の上昇幅は5.1%、2年ぶりの高さとなりました。インフレの圧力が高くなっていることを踏まえて、今回の会議は、来年の経済政策について、積極的な財政政策はほぼ維持しますが、通貨政策は、約2年間続けて実施している「適度にゆとりのある通貨政策」から「穏やかな通貨政策」へ転換することにしました。
通貨政策の転換について、中国外貨投資研究院の譚雅玲院長は「資金の流動が世界的に氾濫している中、中国のインフレ圧力がますます高まっている。それを受けて、穏やかな通貨政策を取るというのは、正常に戻ることを意味している」と述べて、さらに次のような見方を示しています。
「いま実行している"ゆとりのある通貨政策"によってリスクと物価をコントロールするのは、ちょっとやりにくい。そう考えて、中央銀行は"穏やかな通貨政策"に転換することを決めました。それは、実際は、通常の状態に戻すというものです。"通常の状態へ戻る""引き下げる"あるいは"引き締める"と言い換えることもできますが、なぜ、そういった言い方をしないかというと、国民の不安を招きたくないからです。消費者の不安を引き起こさない、それも大事なことです」
「穏やかな通貨政策」の内容は、過剰な流動資金を抑えることが中心となります。今回の会議の初日には、中国の中央銀行、中国人民銀行が今年になって6回目、今月でも3回目の預金準備率引き上げを発表しました。これによって、貸付を引き締めるということです。引き続き、中国外貨投資研究院の譚院長の話です。
「さきほど言った通貨政策が"通常へ戻る"ということは、つまり通貨の供給量を通常の水準に戻すということです。そうすると、過剰な流動資金が減り、投資さらには投機を抑えることが可能になってきます。今年、肉とか野菜など食料の値上がり幅がかなり大きかったのですが、それは需要の増加によるものではなく、投機的な資金、過剰な資金が市場に入って、値段を引き上げたからです。ですから、貸付を引き締め、通貨の供給量を正常に戻すことが必要です」
来年、積極的な財政がほぼ維持されるということですが、その中身は今までと比べ、重点が違います。積極的な財政を打ち出したとき、公共事業への投資が重点でしたが、今回は、それが国民生活を重視する内容にシフトしました。つまり、今までより、国民生活の保障に資金を投入するということです。それから、消費の拡大やサービス業の発展の加速なども強調されています。(鵬)
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