中国の政治運営にとって最重要行事である「政治協商会議」と「全国人民代表大会」が3日から北京で開幕しました。5日に行われた全人代の全体会議には、5000人余りの全人代代表と政協委員のほか、例年同様、2階中央の席に各国の外交官たちも招かれました。
関係筋によりますと、今回、日本大使館からは10人以上の外交官が出席し、招聘を受けた各国の中でも参加者の最も多い国の一つだった模様です。会場で温首相による「政府活動報告」を聴取した在中国日本大使館経済部の柴田聡参事官はこのほど、個人的な立場としてCRIのインタビューに応じ、今年度の「政府活動報告」に対する評価を語ってくれました。柴田氏は取材の中で、「財政の健全性は今後中国の大きな強みになる」と語り、民生の改善に向けた中国政府の取り組みについては「素晴らしい進展があった」と高く評価しました。
日本で長期に渡って財政や金融の仕事に携わってきた柴田聡氏はとりわけ、「政府活動報告」で明らかにされた中国の財政政策に強い関心を寄せており、「世界金融危機の対応として行なっていた『積極的な財政出動』から、平常モードに戻しつつある」と指摘した上で、「財政赤字は昨年度の10500億元から9000億元に減少し、政府債務のGDP比を2.5%から2%に低下させている中国は、G20の中でも最も財政が健全な国の一つであり、日本をはじめ、米国や欧州などの主要先進国が財政赤字の拡大に悩む中、財政の健全性は今後、中国の大きな強みになるだろう」との見方を示しました。
また、格差是正に向けての取り組みに対して、「全体的に民生の改善を強く意識した内容になっている。個人所得税の課税最低額(現在2000元/月)の引上げ、地方政府の財政バランスを調整するための移転支出の大幅増加、また、最低賃金を年13%づつ引き上げていく方針や、社会保障制度の充実など、具体策の面でも大きな前進があり、高く評価できると思う」と話しました。
ただし、その一方で、「所得分配の見直しは、社会構造全体に関わる総合的な課題だ。労働コストの急上昇は、『世界の工場』である中国の国際競争力にも直結する」と問題の複雑性も指摘しました。
なお、「経済構造改革」について、柴田氏は「物価安定や不動産対策など、目下の懸案事項の解決が優先されるのはやむを得ないと思うが、経済構造改革への情熱が低下しないことを希望している」と期待を寄せました。
これに先立ち、柴田氏は全人代開幕前のインタビューにおいて、「中国経済は日本経済のみならず、世界経済にも大きな影響を与えるので、引き続き順調かつ安定的に成長していってほしい」と述べました。
柴田氏のインタビューは3月8日放送の『経済直行便』でお聞きいただけます。(王小燕)
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