会員登録

中国、昨秋以降3度目の利上げ、その背景と特徴は?

2011-02-16 09:37:09     cri    

 中国の中央銀行、中国人民銀行は先週、1年ものの定期預金と貸し出しの金利を、いずれも0.25%引き上げると発表しました。今回は、インフレを抑えるための利上げだと見られていますが、具体的にどういう背景や特徴があるのでしょうか。

 中国の商業銀行の一つ、交通銀行のチーフ・エコノミスト連平さんの話では、1月のCPI・消費者物価指数の発表に先立ち、春節の連休が明けて、すぐに利上げを実施したことから、1月のCPIの上昇幅が去年12月よりさらに大きくなったと予想されます。つまり、インフレがさらにひどくなったので、利上げを急いだということです。

 中国の国家統計局が先週発表した統計結果によりますと、今年1月下旬時点で、全国50の都市で販売されている食料のほとんどが値上がりしています。また、物価の上昇には、海外市場による要因もあります。それは、原油などの資源の国際価格も上昇しているということです。

 その動きは、去年末から続いてきたものです。去年は、10月から12月までの第4四半期の物価上昇がとくに目立ち、中でも11月の上昇幅は5%を超えて、2年ぶりの高い水準となりました。そういうインフレの圧力を抑えるために、中央銀行は去年の第4四半期に2回にわたって利上げを行いました。そのため、今回は、今年初の利上げですが、去年10月からは3度目、しかも前回から1ヶ月半おいての利上げとなります。およそ4ヶ月のうちに3度も利上げを実施したというのは、インフレがかなり深刻になっているということでしょう。そこから、中国政府が、積極的に物価上昇に対応しようとする決意も見られます。

 ここ数年、中国で物価が上昇し続けていて、銀行預金の金利が物価の上昇幅より小さくなっているので、いわばマイナスの金利が深刻になっています。とくに、所得の低い人たちは、貯金がそもそも少ないのに、マイナスの金利になると財産が目減りし、生活がさらに厳しくなるかもしれません。その点、利上げの意義が大きいと見られます。

 今回の利上げで特徴となるのは、一年物以外の定期預金と貸し出しの金利の利上げ幅が対称的でないことです。もっと詳しくいいますと、預金の利上げ幅は、貸し出しより大きいのです。

 それは、銀行にお金を回収しようとする動きと見られています。中国では、不動産価格の上昇が長い期間、続いていて、その原因の一つが、市場に出される資金、いわゆる「流動資金」が必要以上にあることです。そういう状況の中、貸し出しと銀行預金の利上げをして、しかも預金の利上げ幅を貸し出しより大きくすることにより、貸し出しが引き締められ、過剰な流動資金が多少、回収されることになると予想されています。

 中国政府が発表した計画では、今年は、物価の安定が重点の一つになっていますが、1度や2度の利上げではなかなか実現しにくいと思われます。それに今、マイナスの預金金利がまだ続いているため、インフレに対応するには、今後も利上げが実施されると予想されています。中国現代関係研究院世界経済研究所の陳所長は、「今回の利上げは今年最初の利上げだが、最後ではない。年内には、小幅ながら徐々に金利を引き上げる動きがあるだろう」と見ています。

 経済の速くて安定した成長、経済構造の調整、インフレ抑制というのが、中国政府の目標なのですが、どうやってバランスを取るかが課題です。これから、注目したいと思います。(編集・翻訳:鵬)

関連ニュース
写真トピックス
コメント
今週の番組
今日熱点
快楽学唱中文歌
特集ダイジェスト
LINKS