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各国の財界人が語る「持続可能な成長」

2010-10-13 10:44:00     cri    

 中国北部の沿海都市・天津では先月中旬、世界経済フォーラムの主催によって2010年夏季ダボス会議が開催されました。会議では、世界各国の経済関係者1000人余りが、持続可能な成長について話し合いました。

 持続可能な成長、というのは、日本のみなさんもここ数年、よく見たり耳にしたりする言葉だと思いますが、字面で見て分かっているようで、実際、その中身については意外と知らないところがあるのではないでしょうか。

 持続可能な成長といえば、何より先に環境保護のことを思いうかべる人が多いのではないでしょうか。でも、経済界の人たちが言う持続可能な成長には、そのほかにも多くの意味があります。ダボス会議に出席した世界の食品最大手ネスレのピーター・ブラベック・レッツマット社長は「環境ばかりではなく、社会および経済の持続可能な成長も含まれる」と説明し、次のように述べています。

 「企業家にとって、まずは利益の持続的な成長が重要です。それがないと、経済の成長に寄与するとか、社会と環境に責任を持つなど有り得ないでしょう。でも、利益を求めるからといって、環境に被害を与えてはいけません。環境について言うと、水、資源、食糧などが含まれていますが、中でも水が一番大事なのです。しかし水の利用がこのままだと、環境はもちろん、社会と経済も、持続的に成長することはできないと思います」

 レッツマット社長の考えでは、今のような水の使い方は非常に無責任だということです。今、世界では、水ばかりではなく、他にもいろいろな資源の無駄使いや全く間違った使い方をしたりするという問題がありますが、それは、環境だけでなく、経済の成長をも脅かしているといわれています。

 中国の経済学者・成思危さんが今回のダボス会議で発表したところによりますと、中国では、エネルギー利用の効率が悪いことや環境汚染などによる経済の損失は、2005年はGDP・国内総生産の34.5%に達したということです。つまり、環境の被害などでGDPの3分の1以上が無駄になったということでしょう。

 そこで、自分および子孫のために良い環境を保ちながら、経済成長を確保することが課題となります。そういうことを考えて、風力や太陽光、原子力など新エネルギーの開発と利用、それに、環境にやさしい「グリーン経済」などに取り組む動きが高まっています。

 また、持続可能な成長を実現するには、資質・技能の高い人材、および持続可能な成長を理念とした企業文化などが欠かせないといわれています。とくに発展途上国にとっては、人材の育成が一層大切となります。今回のダボス会議に出席したインドの食品加工会社の責任者ハリ・バルティア氏は、食品加工業の人材育成について、こう説明しています。

 「インドの食品加工業では、年間1万2000人規模の雇用機会があるのですが、必要な技能を持つ人材は十分ではありません。しかも、従業員の流動が激しく、年間20%の人がほかの職場や業界に移ります。インドでは、学校を卒業した後、大体88%の人が職業訓練を受けずに社会に出ますが、それらの人が、自分の職場に相応しい技能や人と交流する能力を身につけられるように、私たちは新入社員に対して3ヶ月にわたる訓練をしています。そうすれば、いつか会社が変わっても、苦労しなくて済みます。これは、この業界だけでなく、社会にとってもいいことになるでしょう」

 そして、今回のダボス会議では、アメリカのエネルギー大手デューク・エナジーのロジャーズ会長が、「子孫のため」を理念とした事業を展開していると紹介し、次のように話しています。

 「我が社では、全ての決定や行動は、持続可能な成長という目標に基づき、子孫のことを考えた結果です。そのうち、短期と長期の利益に関わる決定が多いですが、それは全部、持続可能かどうかに影響します。我々の理念としては、まず、下した決定が環境、経済および社会の成長に関わることを確保します。その次は効率。つまり問題を解決したり、エネルギーを使う場合、知恵を絞って実施することです。そして3つ目はバランス。利益と大衆、環境との間でバランスを見出すことです。それが全部できて、いつも長期的な視点でものを考えることもできたら、持続可能なビジネスと未来に向けた電力供給が実現すると思います」

 企業にとって、持続可能な成長に向かう中で、いろいろな問題とかチャレンジにぶつかったり、しばらく目の前の利益を放棄しなければならない場合もあるかもしれませんが、やはり未来のためですから、やっていけばその良さがわかってくるのではないでしょうか。(鵬)

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