中国国際放送局の記者らは8月、浙江省に取材に行ってきました。スケジュールがとてもきつかったのですが、地元のいろいろな産業を見学することができました。その中で、ピアノのメーカーも訪れました。浙江省の寧波にある会社で、名前は、社長さんのお名前・陳海倫から2文字取って「海倫」といいます。
ピアノは西洋の楽器ですので、我々一般の人々には、どちらかというとヨーロッパやアメリカのピアノが品質が良いというイメージがあるかもしれません。海倫ピアノ株式会社は創業されてわずか20年くらいで、世界でも名が知られるようになってきているということです。この点について、陳海倫社長にお話を伺ってきました。
「何と言ってもピアノはヨーロッパで発明されたものですから。ヨーロッパでは300年余りもの歴史があるピアノは、中国に伝わってきてまだ100年にもなりません。西洋のほうが、技術も優れているし、経験も豊富ですから、私たちは、ピアノを作るなら西洋に学ばなければなりません。それで、フランス、アメリカ、オーストリア、日本から技術者を招いて、いろんな面で指導していただいています」
陳社長によりますと、海外からベテランを招聘してくるのは、もう一つ理由があります。それは、地域によってピアノに対する好みが違うことです。ヨーロッパの人は、ヨーロッパのピアノしか好みません。なぜかというと、ヨーロッパのピアノは、楽音の幅が大きくて音色が豊かだからです。一方、アメリカの人はジャズが好きですから、ピアノは、音色に力強さがあるのが好きです。
会社は現在、年間およそ1万台のピアノを製造していますが、できるだけ早く年間1万5000台規模を達成するのが目標だということです。会社の業績について、副社長の陳建斌さんは、次のように話しています。
「中国国内市場での伸びが特に目立っています。今年現在までの売上額は去年に比べて60%増加しました。また、海外での売上げは地域によって違いますが、伸び幅は14%から60%となっています」
では、海倫ピアノは、海外でどういうふうに知られているのでしょうか。簡単にご紹介しますと、まず、2005年8月、ヨーロッパの華人連盟はオーストリアのウィーンにあるウィーン楽友協会の大ホール、「黄金のホール」とも呼ばれているのですが、そこでコンサートを行いました。そのコンサートでは、海倫ピアノが演奏に使われて、中国のピアノとしては初めて、黄金のホールに入りました。しかも、演奏の後、そのピアノは黄金のホールに保存されることになりました。
そればかりではありません。翌年の2006年、デンマークの王室は海倫ピアノを認めて、それを王室専用のピアノに指定したそうです。さらに、2008年、海倫ピアノは北京オリンピックの公式イベント専用のピアノに指定されました。同じ2008年、音響機器や楽器などに関するヨーロッパの最高権威の雑誌「ディアパーソン」の金賞に、中国のピアノとしては初めて受賞しました。これについて、社長の陳さんは、次のように語っています。
「我々は2008年と2009年、2年連続、金賞に受賞しました。しかも受賞したピアノの種類が違っていて、2008年はアップライト・ピアノ、2009年はグランド・ピアノでした。私たちのピアノは、日本やヨーロッパのピアノとの競争に勝ち抜いてきたわけです。最後に金賞に入賞したのは、我が社とドイツの老舗ピアノメーカー・シンメル社、この2社しかなかったです。ピアノの音色など6つの指標で比べた結果なので、受賞できて本当にあり難いなと思います」
中国の海倫、もちろん日本のヤマハとカワイなどもそうなのですが、いろいろ努力していけば、ヨーロッパ製に遜色のない、またはそれに勝るようなピアノを作ることも可能になるかもしれません。そうなると、中国と日本にとって、ピアノメーカーはどんどん世界に進出して利益を拡大することになるし、音楽が好きな子どもや音楽家たちは、外国のではなく自国製のピアノを奏でて、楽しむことができると予想されます。(鵬)
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