李暁超報道官
4月16日
その発表によりますと、中国の第1四半期のGDP・国内総生産は前年同時に比べ、6.1%増えて、6兆5745億元となり、伸び率は昨年同期より4.5ポイント減少したということです。
中国経済はここ数年、ずっと二桁の成長率を保ってきましたが、それに比べ、今回の6.1%は、たいへん低い数字に見えますが…
――対前年比では、ここ17年間最低です。ただし、世界経済の不況を背景に、このような「対前年比」データというでは、果たしてどのぐらいの参考価値があるのか、疑問の声もあります。
このことはさておいて、李報道官も指摘したことですが、中国にとって、今回は、世界金融危機が蔓延している中での6.1%なので、たいへん得がたい成果だとも言えます。
今の世界経済の現状を考えると、確かにたやすいことではないと思います。では、GDPのほか、その他の経済指標にどのような特徴が見られますか。
――かいつまんで、主な指標をピックアップしてご紹介してみます。
先ずは、貸付の伸び率です。
第一四半期では、固定資産投資も各金融機構の貸付残高もいずれも増える傾向にあり、伸び率が昨年同期より加速しました。専門家は、前者は国の財政政策の結果で、後者は国民の経済の先行きへの判断にかかっていることだとしています。
次に、消費者物価指数・CPIです。
昨年同期に比べて、0.6%下がりました。農産物の供給が豊富な上、国際市場の価格も比較的安かったこと、さらに、去年の同じ時期、食料品の価格上昇でCPIが急速に伸びていたことなどが背景と考えられます。
三つ目は雇用です。
1~2月、都市部で新規就業人口は、昨年同期に比べ、21万人減少しました。
この数字は都市戸籍の人に対する統計だけで、「農民工」と呼ばれている出稼ぎ労働者の雇用状況は現在集計中だそうです。
四つ目は輸出入です。昨年同期に比べ、貿易総額は24.9%下落しました。
五つ目は、中国経済の鍵でもある内需です。第一四半期、小売の売り上げ総額は昨年同期に比べて、物価の要素を差し引き、実質べースでは、15.9%伸び、伸び率が3.6ポイントとなっています。消費は拡大しつつあり、喜ばしい動きを見せています。
去年、世界経済の不況に伴って、中国はただちに4兆元もの経済刺激策を発表し、その後、十大産業の調整振興計画が発表されました。こうした努力が効を奏したと言えますね。では、このような経済指標に対して、中国当局は全般的にどう評価していますか。
――李暁超報道官は三つの表現を使いました。つまり、「先ずは、多種多様な政策が施され、様々な措置がしっかりと打たれたこと。次に、経済全般に明るい変化が見られ、予想を上回ったこと。三つ目、基盤がまだしっかりしておらず、まだまだたいへんな課題が残っていること」の三つです。
――さて、世界各国が関心を抱いていることですが、中国経済は果たしてこれで底入れしたと言えるかどうか、これについて、どのような見方がありますか。
大きくは、楽観派と慎重派に分けられますが、ただ、経済指標に良い動きが見られた点では一致しています。
楽観視している人は、GDPの伸び率の下げ幅に注目し、その幅が縮小されつつあるので、経済の大幅な落ち込みがすでに抑制されたと見ています。
(注:08年第4四半期のGDPは第3四半期より2.2パーセントも下落したが、今年第1四半期は昨年第4四半期よりは0.7しか下落していない)
これに対し、慎重派は、データがまだ落ち着いたとは言えず、反復する可能性もあると見ています。また、一部の分野では新しい落ち込みも見られたため、景気がすでに回復したという判断はまだ時期尚早だと主張しています。
どちらも一理があるようにも思いますが、確か、中国経済は今年、8%の成長率を目標に掲げているようですが、今の勢いでは、目標が達成できるかどうか、これについて、どう議論されていますか。
――これにも、様々な声があります。
例えば、中国の商業銀行・興業銀行のチーフエコノミスト・魯政委さんは、「第2四半期のGDPは7%以上に回復する可能性もありますが、全般的に言いますと、もしも、為替レートの調整が行われず、しかも、新しい経済対策を打たないと、8%の成長目標はかなり難しい」と見ています。
一方、国務院発展研究センター金融研究所の夏斌・所長は農業生産の安定性、中国政府の高い財政力、物価上昇の鈍化、豊富な金融資源、巨大な市場が中国経済を支えているため、政策や措置さえきちんと実行されれば、「8%の目標実現に希望が持てる」と楽観視しています。
最後、今後の中国経済にとって、一番必要なものは何だと評されていますか。
――内需の拡大です。北京の地元日刊紙『新京報』は17日付けの社説で、こう述べています。
「今、GDPの成長は主として、財政投入による投資で維持されていますが、果たしてこれが持続可能な方法なのでしょうか。内需で牽引された消費ニーズこそ、長期的な成長をもたらすことができるのです。消費ニーズから促された内発的な成長力は、自発的に投資をつくり、余剰なせ生産能力を消化していく力があります」
ちなみに、中央政府の経済対策の中では、最近、内需拡大の位置づけに変化が見られました。
去年10月、世界金融危機が起きて間もない頃に発表された政策と目標では、「成長の確保、内需の拡大、構造の調整」となっていましたが、今年2月末、「内需の拡大」が一番初めに位置づけられるようになりました。
中国政府も少しずつ、現状に合わせて、方向を微調整しているようですね。では、民間のほうではどうですか。
――同じく、様々な努力が見られています。益々多くの輸出型企業が、いま、国内販路の拡大に乗り出しています。4月15日に開幕した広州交易会はこれまで、ずっと輸出向けの商談が目玉でしたが、今年は輸出商品の国内販売の商談会も開催され、交易会はようやく視線を中国国内にも向けるようになったということで注目されています。(Yan、大澤)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |