国際金融危機の影響を受けて、去年10月以来、中国の一部の業界と企業が経営難に陥り、雇用が減り、出稼ぎ労働者がやむを得ず帰郷してしまったのです。また、同時に去年卒業した大学生の就職情勢も例年より厳しくなっています。

　「もうやることがない。なかなか出荷がなくて、売れない。在庫が多すぎるから、何もやることがなくて、帰ってしまった」。

　このように話したのは、故郷が江西省の楊新林さんです。楊さんは2008年末まで、広東省のある玩具工場で働いていましたが、工場の受注が少なく、利潤が下がったため、いつもより早く帰郷しました。

　現在、楊さんのように、不景気で仕事を失った出稼ぎ労働者は中国でおよそ2000万人いて、出稼ぎ労働者の1.5割を占めています。

　彼たちの新たな就職のため、旧正月が過ぎてから、中国政府は2009年第1号文書をして、農業、農村と農民に焦点を当てて（たって）います。これは6年連続した「三農問題」、つまり、農業、農村、農民問題への取り組みです。この文書の内容について、農業担当の陳錫文さんは「新しい一年、中国は農民収入の持続的増加を保つため有効の措置を講じていく」として、次のように述べました。

　「第一、リストラせず、或いはリストラ削減に努める都会や沿海地域の企業を奨励すること。第二、帰郷した出稼ぎ労働者により多くの職業技能を学ぶ機会を提供して、就職能力を向上させること。第三、インフラ整備の工事でなるべく出稼ぎ労働者を雇用すること。第四、出稼ぎ労働者の起業を支援すること」。

　現在、以上の四つの対策は中国で進められています。冒頭に出た楊さんの故郷江西省の農業庁によりますと、江西省政府が企業の雇用を集めるよう、各地に求め、帰郷した出稼ぎ労働者が工業パークで就職することを推進しています。また、2億元を投入して、労働者の育成や技能のレベルアップなどをすすめています。

　就職支援をすると同時に、農民の起業も奨励しています。去年4月、企業のリストラで帰郷した羅小明さんは政府主催の無料養殖技術育成を受けて、良種の種ウサギや原料をただで手に入れました。そこで、羅さんは自分のウサギ養殖基地を立ち上げました。 

　「今、ウサギ1匹の利潤は10元で、うちには600匹いるので、あわせて6000元の利潤が得られる。党と政府の対策がなければ、今でも家でうろうろしているのかもしれない。こんなに儲かることは考えられないと思う」と羅さんは言いました。

　このほかに、旧正月に帰郷した出稼ぎ労働者の再就職を支援するため、中国の一部の省で、専門の求人フェアや雇用情報の公布、職業仲介サービスなどの形で再就職を促しています。中国一の労働力輸出省である河南省では、出稼ぎ労働者が帰郷して起業する際、税金と小額担保貸付の面で優遇政策を実施しています。

　また、その企業が不動産税と土地使用税で困っていれば、適度な減額と免除ができるということです。広西チワン族自治区でも、個人起業者に対して、一定の期限内で、小額使用貸付や利息補助などの支援を提供する対策を出しています。

　出稼ぎ労働者のほかに、各大学卒業生の就職問題も政府が直面する課題です。統計によりますと、今年、中国の大学卒業生は611万人、去年より9％増えるだろうと予測されています。さらに、2008年に卒業した560万人の中に、まだ150万人が安定した就職先が見つかっていません。

　付雁南さんは北京大学報道とマスコミ学院の大学院生で、今年卒業する予定です。付さんはあるメディア会社で実習して、そこで就職できればと期待しています。付さんの話によりますと、クラスには40人以上がいて、就職が内定してしたのは5人しかいないので、クラスメートは皆、給与などに対する期待も下がり、就職できればいいと思うようになったということです。

　「就職活動は前より厳しくなった。多くの人がまだ決まっていない。3月に大型求人フェアがあるので、皆、それに期待を寄せている」

　このほど、名門大学である清華大学は1千近くの会社を招き、北京大学も卒業生の就職を支援するために全校を挙げた就職大会を開くと共に、総合的な対策を講じました。北京大学就職指導センターの責任者、陳永利先生は「北京大学は職業企画や就職について詳しい専門家を招いて、卒業生に説明するほかに、中小企業との連絡を増やし、就職のルートを拡大しようと考えている」と紹介してくれました。

　中国政府は、今年から3年間かけて、100万人の大学卒業生の実習を行い、企業や団体が実習した大学卒業生を採用することを奨励する計画を実施しています。このほか、大学卒業生の（が）末端組織での就職を奨励しています。この面の対策について、中国教育省の続梅報道官は「これら計画には、大学生西部就職計画、農業支援、教育支援、医療支援と貧困扶助計画及び教師特別職位設置計画を含めており、10万人の農村教師を増やすことを目的としている。また、中国各地にもそれぞれの求人プロジェクトを設けている」と述べました。

　中国人力資源社会保障省の尹成基報道官は「去年、中国の都市には新たに1113万人が就職し、年明けに制定した1000万人の目標を達成した」として、「中国経済の好転につれて、就職の環境も徐々に改善されていく」考えを示しました。（翻訳：ヒガシ）