中日協力プロジェクト: 中国農村養老保険制度の革新と管理規範研究
中国は改革開放まで、都市住民の養老金と医療補助は財政や国有企業から拠出されるのですが、農村では互助、つまり、お互いに助け合うという形で、国からの支援はありませんでした。
1980年代から、中国は保険制度に対して改革を行い始めました。20年あまりの発展を経て、現在、都市住民の養老や医療などの社会保障制度が確立され、システムも絶えず整備されているところです。農村の養老社会保険改革は1986年から始まり、これまで、商業的なシステムを取ったため、加入状況はあまりよくありませんでした。そこで、1990年代末からの調整を経て、現在、新しい形での試行段階にあります。
今回の中日協力プロジェクトはこのような背景の下で行われたものです。この中国農村社会養老保険制度の革新と管理規範についての調査研究という協力プロジェクトは日本政府の援助によるもので、中国人力資源社会保障省と日本のJICAによって、てがけられました。プロジェクトは2006年1月から2008年12月31日まで、北京の大興区をはじめ、中国の8つの県や区を選んで、新型農村社会養老保険制度を試行しました。
1月10日、北京の東郊外で、プロジェクト3年間の作業を締めくくる会が開かれ、中国と日本の政府関係者や調査団のメンバー、そして、試行拠点の農村社会保険の担当者が参加しました。
会議で人力資源社会保障省と日本側関係がプロジェクトの内容や調査の結論を紹介したほか、日本の年金制度を紹介したり、試行の心得を語ったりしていました。
安徽省労働保障庁の副調査員は「本プロジェクトの意義はそのプロジェクトだけにあるわけではなく、プロジェクトの実施によって、農村の新型養老保険の推進を促したことにある」として、「新型農村保険を推進する中で、中日協力プロジェクトの経験とやり方を研究・取り入れた」と話しました。
実はこのプロジェクトは中国政府が注目しています。四川省の通江県は温家宝首相の連絡拠点で、そこでの新型農村社会養老保険の試行状況は温首相が強い関心を寄せています。このプロジェクトの成果は今後中国の政策制定の重要な参考になることは間違いありません。中国人力資源社会保障省の胡暁義次官は「中日協力プロジェクトで上げた成果を充分生かし、さらに新型農村養老保険制度を設立していく必要がある」と語りました。
ところで、日本政府の対中ODAは、1979年に開始され、これまでに有償資金協力(円借款)、無償資金協力、そして、技術協力を含めて、およそ3兆円以上を実施してきました。今年30周年を迎える対中ODAは中国の改革開放と共に歩んできたとも言えます。中国でのODA事業は、これまでの道路や空港、発電所といった大型経済インフラや医療・環境分野のインフラ整備のための大きなプロジェクトの支援から、技術協力、人材育成、改革開放助成へと代わりつつあり、中国の経済成長が実現する上で大きな役割を果たしています。(東)
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