日本人と中国人の違い
~迷惑をかけない日本人と面子を重視する中国人~
日本語学科一組 周 妍(シュウ ケン)
■ 「迷惑」と「面子」
日本人と中国人は、距離的に近く、一見顔は似ていても、性格、考え方、付き合い方など、すべてが違うといっても過言ではありません。ところで、なぜ「迷惑をかけない日本人と面子を重視する中国人」をテーマにしたかといいますと、それは、「迷惑」と「面子」はそれぞれの国の社会生活でよく使われている言葉だからです。そして、この二つの言葉から日本人と中国人の違いを考えてみたいと思います。
■ 団体を重んじる日本人
こんな話を聞いたことがあります。ある人が雪崩に遭い、救助されました。その救助してくれた人に対して最初に言った言葉は、「助けてくれてありがとう」ではなく、「迷惑をかけて申し訳ない」でした。これはもちろん昔の話ですが、現代の日本社会もさほど変化はないと思います。誰かに助けてもらった時、「ありがとう」の代わりに、「すみません」と言う人は少なくありません。感謝する気持ちよりも迷惑をかけること、抽象的にいえば、自分よりも相手への配慮を優先する、こんな日本社会だからです。団体を重んじる社会といってもいいでしょう。公衆の場で騒ぐ子供を叱る親は、「ほら、周りの人たちに迷惑かけちゃダメでしょう」と言ったり、問題を起こした社員は、「ご迷惑をおかけしました」と謝ったりします。ある小学校の修学旅行の注意が書かれている冊子を見て驚きました。一番目に書いてあったのは、「他人に迷惑をかけないこと」でした。電車の中でも、「他人に迷惑をかけない」ように通話は禁止されます。中国の場合だと、親が騒ぐ子供を叱る時は、「声が大きすぎるよ」とか、社員が謝る時は、「申し訳ない」などとストレートに言います。バスの中でも、平気で電話を掛けます。なぜそこまで、「迷惑」にこだわるかと不思議に思う中国人の私でしたが、実は、中国人にもこだわる言葉があると気付きました。それは、「面子」でした。
■ 個人を重んじる中国人
日本人も面子を気にすることがあると思いますが、中国人の面子のこだわり方は、日本人には理解できないかもしれません。「面子」はもともと体面という意味で、面子を重視することは、きちんとして重々しく見せることだと考えられます。しかし、その「面子」はいつの間にか、さまざまな意味を持つようになりました。お客さんを招くとき、出来るだけ多くの料理を注文し、テーブルがいっぱいにならないと気が済みません。そうしないと、「面子がない」と思われてしまいます。結局残ってしまうのがわかっていても、「面子」を買うのに、仕方ないことだといいます。それに対して、日本人はいつもちょうど食べられる量を頼みます。中国人は贅沢だといいます。面子を通した付き合い方はそれだけではありません。「顔(面子)を、立ててくださいよ」と頼まれた時に、「じゃ、顔(面子)をたててあげましょうか」と答えます。相手の面子を立てることは、多くの場合、自分の面子を守ることになります。つまり、個人の意識が強いということです。自分のことを強調したがる中国人。団体意識が強い日本社会と違って、個人を重んじる社会といってもいいでしょう。
■ それぞれの特徴を持つ日本人と中国人
迷惑をかけないで、丁寧で礼儀正しい日本人。しかし、なんとなく、距離を感じさせ、いつもあいまいな態度になってしまいます。興味深いことに、迷惑をかけないというのは誰に対して言っているのか、そんな議論が出てきました。あまりにも迷惑をかけないことばかり意識しますと、外と積極的に関わりたくなくなり、消極的な生き方になってしまうのではないか、結局自分に迷惑をかけているのではないかという意見もありました。
それに対して、面子を重視することで、個性的で情熱がある中国人。しかし、なんとなく、自己中心の傾向が強く、ばらばらな感じになってしまいます。無意味な言い合いをして、パーティーで周りの空気を硬くしたり、チームワークというものを理解できなかったりします。本当に団体に迷惑をかけても自分の面子を守るべきなのでしょうか?
答えを出すのはそんなに難しくありません。お互いの文化をより理解しあい、良いところを見本にし、学ぶべきではないかと思います。そうすれば、理想な人間関係に一歩近づくのでしょう。
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