今年4月、国連安保理常任理事国(米英仏中露)にドイツを加えた6カ国とイランは、1年間中止していた核協議を再開しました。これにより、イラン核問題の解決に「一縷の望み」が見え始めています。1ヶ月にわたる話し合いを通じて、5月23日にイラクの首都・バグダッドで新たな核協議が開かれることになりました。
今回の協議に先立ってアメリカ上院は新たなイラン制裁案を採択し、イラン国家石油会社や石油タンカー会社が新たな制裁対象になったほか、イランの石油輸出に対する制限もより厳しくなるということです。また、アメリカ上院のミッチ・マコーネル議員は、武力行使の可能性も示唆しています。
一方、イラン陸軍は23日の協議開催に合わせて、中部に位置するエスファハーン州で軍事演習を行うことを明らかにしました。イラン軍当局によりますと、この軍事演習は、実力差のある戦争に備えるイランの能力と戦略をアピールするものになるということです。保守派が主導となるイラン議会も、今回のバグダッド会議では原則問題において西側諸国に妥協や譲歩しないよう求めています。
協議を前に、アメリカとイランは互いに強腰の態度を示そうとしていますが、これは双方の立場に開きがあることを表すもので、イラン核問題の解決においても大きな障害となり、一度の協議のみでは解決しきれない課題だといえるでしょう。
現在、西側諸国とイランの間には、大きな意見の食い違いが依然存在します。アメリカをはじめとする西側諸国のウラン濃縮の完全停止をイランに求める最終的な立場は変わっておらず、ウラン濃縮の完全停止までは西側によるイラン制裁が緩和されることもありません。一方で、ウラン濃縮の放棄を渋るイランの立場も終始変わっていませんが、現在、イランが関心を寄せているのは、ある程度の妥協と引き換えに、制裁緩和を提案することです。
局面打開に困難はあるものの、今回協議への期待も高まっています。
メディアの報道によりますと、イラン核問題をめぐる6カ国は、濃度20%のウラン濃縮停止をイランに求めていますが、濃度3.5%のウラン濃縮を認める可能性が出ているということです。この立場はある程度の柔軟性を見せています。一方で、イランもこれまで「ウラン濃縮問題の交渉は一切しない」という立場を改め、協議に臨むことを決めました。イラン核交渉担当者を務めるジャリリ最高安全保障委員会事務局長はバグダッド入りした後、今回の協議で前向きな成果が得られることを期待すると表明しました。
これに先立って21日、IAEA・国際原子力機関の天野之弥事務局長が就任後初のイラン訪問を実現しました。天野事務局長は22日「IAEAは核関連施設の査察問題でイランと合意した。細部問題についてはまだ交渉中だが、近日中に合意文書に署名できる」との見通しを明らかにしました。天野事務局長のイラン訪問は6カ国とイランによる23日の核協議に好影響を与えるものとして期待されています。(ミン・イヒョウ)
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