アメリカの統合参謀本部のマイケル・マレン議長の招きに応じて、中国中央軍事委員を務める陳炳徳総参謀長は、中国人民解放軍の上級代表団を率いて、15日から22日にかけてアメリカ訪問を行っています。中国人民解放軍総参謀長の訪米は、これが7年ぶりです。今回の訪問は、両国政府及び軍当局が非常に重視しており、アメリカの報道機関も関心を寄せています。
陳炳徳総参謀長が率いる中国人民解放軍の上級代表団は24人からなり、15日にワシントンに到着しました。訪問の主なスケージュルは次のようになっています。現地時間の16日、代表団は初代大統領ワシントン氏の旧家を訪れた後、ワシントン市内を見学し、マイケル・マレン議長が主宰する歓迎パーティに参加しました。夜は、中国解放軍軍楽団とアメリカ陸軍軍楽団がともに、ケネディ芸術センターで演奏会を行います。18日、陳参謀長はゲーツ国防長官、クリントン国務長官をはじめとする政府高官や国会議員と会談するほか、国防大学で演説を行う予定です。その後、訪問団は、ジョージア州の海軍基地、ネバダ州の空軍基地、カリフォルニア州の陸軍国家訓練センターを訪れます。
ところで、アメリカ軍当局は今回の訪問に期待しており、中国との軍事関係を回復する突破口に位置づけています。アメリカ軍当局の高官は、「われわれの主な目標は中国軍当局と交流する糸口を見出すことである。さもなければ、太平洋地域で起きた小規模な衝突も、大規模な危機になる恐れがある」と述べました。
アメリカの報道機関は、両国の不信感を払拭することが双方の交流の主な目的だと見ています。「ワシントンポスト」は、国防安全保障分野の高官の話を引用して「軍当局の高官による持続的な接触が少ないことは、中米関係が依然不安定であることの表れである。両国の軍当局は、協力こそ双方に最大の利益をもたらすことを意識するようになるに違いない」としています。
2010年の初めに、アメリカが台湾に63億ドル相当の武器を売却すると発表しました。これを受けて、中国はアメリカとの軍事交流を中止しました。
一方、今年に入ってから両国の軍事関係回復をめぐる活動が頻繁になっています。1月には、胡錦涛国家主席が訪米ましたが、これに対して、アメリカの軍当局は、「胡主席が強硬な態度を取らなかった」、「胡主席訪米後、両国関係に回復の兆しが現れた」と評価しています。さらに、今年の初めに行われたゲーツ国防長官の中国訪問が、両国の軍事関係が回復に向かっている明らかなシグナルだとされています。特に、このほど、戦略と経済対話の枠組みの下で、両国初の戦略安全保障対話が行われ、両国の上級軍事代表がともに参加し、アジア太平洋問題に関する協議を始めることで一致するなどの成果を得ています。
当然ながら、両軍の密接な関係の構築は、容易なことではなく、台湾への武器売却は依然として最大の妨げとなっています。一方、中国の軍事力の増強や太平洋地域での影響力の拡大も、アメリカが懸念する材料になっています。
これらを踏まえて、段階を追って交流分野を拡大し、理解と信頼を深めていくことは、中米両軍の関係にとって現段階での最大の課題だと言えるでしょう。(朱丹陽)
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