石井かほり監督(右)
11日、日本の伝統工芸の木版染めを記録したドキュメンタリー映画「めぐる」が日本文化センターで上映されました。また、上映後には、同センターで石井かほり監督のトークセッションが行われました。
木版染めは小さな木の塊に様々な柄を彫り、その木版を一つ一つ直接生地に押し染めるという日本の最も古い染織技法です。木の持つ柔らかさと染め手の温もりが生地に直に伝わることで得られる染め上がりには、他の技法では得ることの出来ない独特の味わいと優しさがあります。
映画「めぐる」 |
木版染めの設計図を描いている藤本哲生さん |
今の日本では木版染めの職人が極めて少ないのですが、職人の藤本義和さんと息子の藤本哲生さんは親子で肩を並べて、数十年一日の如く木版染めの仕事をしています。「その仕事には大変な時間と手間がかかるし、お金にもならないのに、楽しそうに働いている職人さんの姿を見て心を突き動かされた」と語った石井監督は貴重な技法を記録するだけでなく、職人という生き方を45分間の映画「めぐる」で生き生きと描きました。
会場の様子
石井監督は「役所で働きながら、映画撮影の専門学校に通っていた私は卒業作品の素材を探しているとき、インターネットで職人藤本義和さんのページに辿り着き、 その作品の美しさに一目惚れをした。また、その技が絶滅寸前ということを知り、どうしても撮影させて欲しい、と藤本さんに頼み込んだ」と映画製作のきっかけを述べました。
藤本さんが色を施した布で作った着物を着けた石井監督は「文化はほかのものと違って、静かに黙々と人々が知らないうちに消えてしまう。今目の前にある文化、習慣、考え方などはその前に誰かと繋がっているので、映画のタイトルを『めぐる』にした。今を生きている命と知恵は簡単にできあがったものではないので、大事にしなければならないと思っている」と文化財への重視・保護を呼びかけました。
石井監督が着ている木版染めの着物を観賞する観衆たち |
映画「めぐる」はこれまでに、日本、アメリカ、フィリピンで上映されました。中国での上映は今回が初めてだということです。(文章:陳博 写真:李陽)
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