IAEA・国際原子力機関の核査察団は26日イラン中部の都市コム近郊のフォードー核施設に対し、2日間に渡る査察を終えました。今回の査察の目的は公開しませんでしたが、分析者は、「現在、イラン核問題の鍵は核査察ではなく、濃縮ウランの第3国での加工だ。イラン国内では、IAEA のエルバラダイ事務局長の提案に対し、対立的な見方をあらわした」とみています。
IAEAの4人の核査察人員は現地時間25日午前、イランに到着しました。イランメディアのこれについての報道は少なく、核査察人員の記者会見も行わなれませんでした。先日のロイター通信によりますと、査察人員はイランの提供した工程設計図と工事の実質状況とをてらし、職員と話しあったり、環境分析のサンプルを取ったりして、まだ未完成のこの核施設が平和目的かどうかを確認するということです。
フォードー核施設は今年9月国連総会期間中に公表されたものです。報道によりますと、この施設には、3000台の遠心分離機がすえつけられる計画で、これはすでに遠心分離機が7000台すえつけられているナタンズ核施設より少ないものの、ウラン濃縮能力は同等で、純度は5%以下です。フォードー核施設は2006年から建設され、現在、土木工事がほぼ完成しています。しかし、遠心分離機はまだすえつけられておらず、核原料も基地に運ばれていません。
現在、ナタンズ核施設はIAEA の監察の下で運行しています。
分析者は、「イランはフォードー核施設が発覚した後、その査察に直ちに同意したのは、主に、フォードー施設がナタンズ施設より規模が小さく、IAEA の規定に違反していないので、イランにマイナスの結果をもたらさないと思っているからだ」とみています。
また、現在重要なのはイランの濃縮ウランの第3国での加工問題としています。現在、アメリカ、ロシア、フランスの3ヶ国はすでにエルバラダイ事務局長の方案に同意しましたが、イランはこれについての返答を今週に延ばしています。
エルバラダイ事務局長の提案は「イランは原子炉に必要な純度の高い濃縮ウランを独自で開発、生産せず、第3国で精錬する。そして、自国で生産した70%の低純度の濃縮ウランと第3国で精錬された純度20%の濃縮ウランを交換する」というものです。イラン国内では、この提案に対し、矛盾した2つの見方があり、一方は、イランはエルバラダイ事務局長の提案についての協定にサインすることを希望している。そうすることで、イランの向かっている外部からの圧力を緩和することが出来るし、現在のウラン濃縮を合法化させることも出来る。また、現在の低純度のウラン精錬活動も保留できる一方、純度の高い濃縮ウランを得ることも出来るようになるというものです。もう一方はイランは西側による核燃料の提供が保障されていないことを心配し、国際市場で純度の高い濃縮ウランを購入すると共に、低純度ウランの精錬を続け、国内の原子力発電所の燃料にすることを希望している。これは西側の国にとって受け入れにくいことだ」との見方です。
イランのモッタキ外相は26日、「イランはこれまでのように、外国から原子炉の燃料を購入する。または低純度のウランを第3国に輸送して加工するという2つの方案の中から一つを選択する」と述べました。
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