安徽省の南部・世界遺産の黄山を訪ねました。この一帯はお茶の産地で、麓の農村には一面の茶畑が広がっていました。特に、私が訪れた4月初旬は茶摘のシーズンで、茶農家の方々が畑へ出て、額に汗しながら忙しく手を動かしていました。
黄山の銘茶「黄山毛峰」は、高級緑茶として全国的に有名です。取材先やレストランでいただくお茶は、まさにその「黄山毛峰」。スッキリと香り高い緑茶です。
美味しいお茶をゆったりといただく時間が、この安徽省にはまだ残されていました。街並みひとつとっても、黒瓦に白壁、独特の建築様式(「徽派建築」というそうです)の家屋が多く残され、懐かしいような、癒されるような気持ちになるのです。
めざましい勢いで日々発展する大都会・北京にいると、毎日がどことなく落ち着かず、精神的なストレスを感じることも多いのですが・・・。安徽省の穏やかな気候がそうさせるのか、街も人もどことなくのんびりとしていて、それが非常に心地よいと感じました。
しかし近年は、安徽省も経済発展を遂げており、各都市に工業区や経済開発区が建設され、街並みも様変わりしています。実際に、省都の合肥では、古い建物がどんどん取り壊され、近代的なビルが建てられているのを目にしました。また、豊かな自然や悠久の歴史を持つ安徽省では観光業も発展しています。黄山も全国各地からの団体ツアー客でごった返しており、そのにぎやかさには少し辟易してしまうほど。農村部でも、経済的に豊かになろうと取り組みが続いており、成果も出ています。
安徽省は、今後、どのように変化していくのでしょうか。北京や上海のように、ガラリと生まれ変わってしまうのでしょうか。個人的には、その風情を失うことなく、バランスの取れた発展を遂げてほしいと願うばかりです。(文・末永由希)
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