安徽省5日目、安徽省の国家クラス開発区のひとつ、蕪湖開発区を訪ねました。目的は、ここに、中国自動車業界の風雲児的存在「奇瑞汽車(チェリー自動車)」があります。
「奇瑞汽車(チェリー自動車)」は1997年創業以来、着実に成長してきた自動車企業です。特にここ数年の業績は目覚ましく、2006年の販売台数は30.52万台と前年比162%を記録しました。現在では中国の自動車業界第4位の地位を占めています。特にここ最近は、中東方面をはじめ輸出にも力を入れるなど、国際的な知名度を上げています。アメリカの「フォーブス」誌による「もっとも評価を受けている中国企業」ランキングでは、11位にランクインしています。
創業から10年。短期間で、これだけの躍進を遂げた秘密はどこにあるのでしょうか。総経理弁公室主任・金弋波さんにお話を聞きました。
「評価が高まっているのはうれしいことです。しかし、それに甘んじてはいけません。私たちはまだまだですから」
金さんの口から出たのは、そんな謙虚な言葉でした。しかしながら、金さんは、「奇瑞汽車」発展の理由として、以下の点を挙げてくれました。
1、蕪湖開発区の優れた環境
2、 開発チームの力(開発スタッフは4000人在籍。市場調査を徹底して行うだけでなく、開発トレーニングも充実)
3、新しい発想で、市場の隙間をついた商品展開
4、全国各地にサービスステーションを設け、決め細やかな顧客サービスを実施
このなかで、私が個人的に関心を持ったのは、?の商品展開です。大きめの乗用車の人気が高い中国市場において、あえてコンパクト・カーで勝負に出た「奇瑞汽車(チェリー自動車)」。なかでも「QQ」は、ファッションに敏感で一定の経済力がある若いホワイトカラー層の心をつかみ、ヒット商品となりました。工場で私も試乗させてもらいましたが、丸っこくてカラフル、機動性のあるコンパクトな車体は、なかなかの乗りごこち。また、オプションとしてMP3オーディオを搭載できるなど、現代的な感覚が散りばめられています。そのほか、アウトドア志向の高いジープタイプや、大きな車内空間が魅力のミニバンタイプなどを発表。同行していた若い中国人記者も、「今度車を買い換えるなら、チェリー車にしようかなあ」と、つぶやいていました。
ちなみに、地元・蕪湖では、街を走る車はほとんどがチェリー車。街の発展を支えるチェリー車は、蕪湖市民の誇りでもあります。中国の自動車産業が今後どのように発展していくのか、改めて注目していきたいと思いました。(取材・文/末永由希)
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