北京やもっと西の方の乾いた風景と違って、水のある風景は心が落ち着く風景である。特に水路に漆喰の白壁はよく似合う。建物の周りには塀が無くて、大きな二階建ての建物で、開放的な感じもして、豊かそうな感じであった。北京辺りの家の様な、埃っぽい雑然とした感じとは全く違う。
この水路を通る船に乗れたのは偶然であった。元々周庄から同里までは船で行く計画であったが、その船が見つからず、地元の人に聞いてもそのような船は無いとのことであったので諦めていた。しかし朝早く周庄の朝の写真を撮りに行ったら、観光名所の橋の上で、"同里"が何とかかんとか行っている人がいた。よく聞いてみると船で同里まで行かないかという誘いの話しなので、早速これに飛びついて乗ることに決めた。値段は値切らずに言い値の100元。妻と二人の貸切の、一時間の心地良い川風に吹かれながらの船旅であった。天気も良く、良い写真も撮れたので気分は最高であった。
その船であるが、何とこの船はコンクリートの船なのである。このあたりの生活用の船は全部コンクリートで出来ている。エンジンはポンポンポンとのどかな音を立てる船である。観光用の船は木で出来ていたが、農家の船はコンクリートである。やはりこの地方では木が少ないらしい。その船で通る水路の岸辺には、柳の木が繁っていて、丸いアーチ型の橋なども沢山見えた。この水路で洗濯する人、アヒル、柳、石の橋、手漕ぎの舟、水路の直ぐ傍に建っている白い壁の農家。やはり画なる風景である。それにしても白い壁は、水郷の水に良く似合う。
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