信陽での取材、最終日。この日のテーマは朱鷺。董寨鳥類自然保護区を一日取材した。
先ず訪れたのが、科学普及館。山間のこの地は鳥の楽園ということでたくさんの野鳥が
生息している。ここでは剥製でその様子が再現されている。
中でも日本人の私の目を引くのが「ニッポンニアニッポン」の学術名を持つ朱鷺だ。日本では天然記念物に指定されながら野生種は絶滅してしまった。中国でも国家一級重点保護動物で絶滅危惧種でもある。ここでは、その生態などが「東方の宝石―朱鷺」と題して紹介されていた。
この紹介を見ると、この後訪れる朱鷺の人工繁殖飼育センターへの期待が高まる。
が、この董寨鳥類自然保護区にはいくつかのエリアがあって朱鷺の前にオナガキジが
人工飼育されている白雲自然保護センターへ向かう。現在は、繁殖期と言うこともあって
オナガキジが飼育されているエリアに近づくことはできなかったが、小さな川を挟んだ
対岸から望遠鏡でその姿を見ることができた。体は鶏くらいの慎重だが、名前の通り
尾が長い。望遠鏡のレンズ越しに見ても1メートルはありそうな様子。そして、頭だけが白くて、ちょこんと帽子をかぶっているようにも見える。
そして、いよいよ朱鷺の繁殖飼育センターへ。
どんな凄いところだろうと思ったら、そのあまりにひっそりした門構えに逆に驚いた。
中国の観光地はどこに行っても人が多い。ここが観光地ではなく朱鷺が大切に育てられている場所だと言うことを改めて確認した。先ず、こちらの職員から朱鷺についての説明を聞く。中国にも2000羽ほどしかいないことや、ここでの繁殖飼育活動は日本との共同プロジェクトであることなどが印象に残った。そして、いよいよ朱鷺の飼育エリアへと進む。
希少な生き物に会えると思うと緊張する。
でも、仲良く並んでいる姿は、なんだか微笑ましかった。また、ちょうど一日前に雛が卵から孵ったというので、その姿も見ることができた。
親の朱鷺とは全く違う姿だけれど、その姿は愛らしい。
この飼育コーナーの奥に朱鷺が自然界に放鳥される前に過ごすエリアがあった。
高さ30メートル以上の支柱にの中にある緑の網で覆われたこの一角で朱鷺は自然界での
暮らしを予習すると言う。確かにセンターの名前は人工繁殖飼育だが、最終目的は自然界に
還してあげることだ。ここにいる朱鷺は先ほどのエリアのものと羽の色が違っていた。
中には、このエリアを散歩している朱鷺もいた。と、頭の上を「アオォ、アオォ」と朱鷺が
元気よく鳴きながら飛んでいく。生きている姿を見たのもこの日が始めてだが、声を聞くのも初めてでとても感激した。でも、一番感激したのは、その飛んでいる時の羽の色だ。朱色がかったピンク色はまさに朱鷺色。美しい。写真では上手く撮影することができなかったが、
心にはしっかりと焼き付いた。そして、改めてこんなきれいな羽根を持つ朱鷺を絶滅の危機に追いやってしまったのは、私たち人間だということも。
最後にいろいろな意味で最高のプレゼントをもらって、私たちの取材活動は終了した。
このセンターを離れる時に、こんな看板が目に入った。
朱鷺の保護は私たち人間の責任。 完
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