蘭州彩陶土器芸術博物館を訪ねる
甘粛省は中華文明の発祥地一つです。ここから出土した彩陶土器は中国古代文化を代表するものです。甘粛省には仰韶(ぎょうしょう)文化と馬家窯文化があり、その歴史は5千年です。そのうち馬家窯文化は中国の新石器時代の彩陶土器を有するものとして有名です。
甘粛省の彩陶土器について、蘭州馬家窯文化研究会の王海東会長は、次のように語ってくれました。
「世界中の優れた彩陶土器は中国にあります。そして中国の優れた彩陶土器は甘粛省にあります。中で最も優れたのが馬家窯の彩陶土器です。ここの彩陶土器は貴重な世界的遺産で、世界の彩陶土器の歴史では一番輝かしい1ページだといえます」
甘粛省の彩陶土器は造形が多種多様で、模様が複雑です。また色鮮やかで、製作のレベルが高く、文化的な価値が高いとされています。しかし、どれだけ価値があろうとも現代に生きる一般の人々にとっては、彩陶土器は日常生活からかけ離れた物のようです。この両者の距離感を縮めるため、蘭州馬家窯文化研究会の王海東会長は甘粛省の省都、蘭州市で初めての民間博物館、蘭州彩陶土器芸術博物館を作りました。
この博物館には、いろいろな種類の彩陶土器が展示されています。展示は大まかに3つの部分にわかれ、一つ目は古代人類文明の誕生、2つ目は古代人類文明の最高峰、3つ目は古代人類文明の夕日とテーマづけられています。大地湾文化と仰韶文化は、一つ目の古代人類文明の誕生という区分に含まれています。
この時期の彩陶土器の展示には、四音陶製塤があります。これはオカリナによく似た土笛です。はるか昔、今からおよそ5500年から5900年前に人々が使っていた楽器です。この楽器について、王海東会長は次のように紹介してくれました。
「陶製塤は楽器です。音楽は抽象的なもので、その実物は保存されていませんが、塤を通じて、その時代に音楽があったということが証明されました。ここで展示されている塤は、国史上最も古いものです」
王海東会長は、長年にわたって豊富な収蔵品を研究し、これまでに論文を100編発表しています。その中で石器時代以前の時代の政治や経済、音楽、絵画などの知識をまとめました。王会長のいくつかの見方は一部の学者からは疑いの声もありがますが、王会長はかまわず、この研究を続けています。彼は彩陶土器をじっと見ているうちに、タイムスリップして古代の人々と直接対話して、当時の事情がわかってくるような気がすると言います。
王会長は、また「この陶器を見てください。胴体の半分に絵が描かれて、半分はなにも描かれていません。これは古代の陰陽の考え方の表れです。陰陽、天地、調和などの概念は5000年前と6000年前の器物にも現れているのです。今の人々は絵を描いたり、建築物をデザインしたりするとき、変化を求めますが、昔の人々もこのことをすでに心得ていたのです。彩陶土器を研究すればするほど、この中に多くの哲学的思想があることに気づきます」と話してくれました……(任春生)
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