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製茶はその日に、多忙な春

2011-05-05 10:05:56     cri    

 山を降りたのは、昼すぎでした。帰り道に、摘んだばかりの茶葉を買い集める場面を何度か見かけました。農家の人びとはその日に摘んだ茶をその場で現金に換えるのです。買い手は籠から茶葉を一つまみ取り出して、直径1メートルほどの竹製の丸い容器に広げ、品質を確認してランク分けをします。ランクによって値段が違い、若芽だけのものは上級品として、高級茶に製茶されます。

 

 地元には大きい企業が2社あるほか、規模の小さい個人経営の製茶所が沢山あります。茶摘みの時期は、毎日、朝から茶摘みをし、夕方から夜中までは製茶、の繰り返しです。緑茶の産地の人々にとっては、春は忙しく、休みなしです。

 その日の夜、洪志さんのお兄さんの工場で、製茶を体験しました。「殺青(さっせい)」と呼ばれる、茶葉に熱を加えて発酵しないようにする最初の作業は、すでに機械に代わっています。しかし、そのほかの一連の作業、例えば茶葉をきれいな形に揃えたり、乾かすとき頻繁に調整したり、一つ一つの手順をこまめにやらなければならず、職人さんは、茶を広げる、形を整える、殺青する、乾かすといった作業場所を絶え間なく行き来していました。まるで巣箱の中で休まず動いている働きバチのようでした。

 今は使われていない釜で「殺青」の作業を体験してみました。いまでは、「殺青」は横になったドラム缶のような容器に茶葉を入れると、容器がくるくる回るにつれて、茶葉が内壁に沿って回されて完成しますが、この機械を導入するまでは、釜を使って手作業で「殺青」していました。釜は、中華なべの3倍くらいの大きさで、熱した釜に生の茶葉を入れ、右手で茶葉を軽く押さえながら手際よく右から左に推していっては、釜の上の空間にぱらぱらと落としていきます。台所で野菜炒めを作るときの手つきにどこか似ているような気がしました。ただ、フライパンが巨大な中華鍋となり、木べらが手となっていますが…。手は数百回も丸を描いていきます。

 簡単そうに見えますが、釜が熱いため、茶葉を常に手と釜の間に挟まなければなりません。体中緊張が走ります。同行した陳博さんは四苦八苦した末、とうとう手にコインほどの軽い焼けどをしてしまいました。そうやって苦労して、自分たちが摘んだ茶葉がお茶となって出来たときの嬉しさはひとしおでした。しかしよく見ると、1日がかりで作った茶の量は、わずか50g!「自分の手で作った黄山毛峰、ご両親に飲んでいただこうね」と、横から洪さんの一言でした。(文章:王秀閣)

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