茶畑が廃れるのが寂しい
――茶農家・鄭艶紅さん
茶摘み体験をさせてもらった茶農家の鄭艶紅さん(48歳)。
茶摘みが終了し、山から降りてくる途中、長時間の力仕事で足が棒になった私は、休憩を提案しました。自分より20歳も年上の鄭さんは、「まだ若いのに、この程度の作業でもう疲れたの?」と優しく微笑み、おやつの梨をくれました。
「今日は皆さんと一緒だから3時間しか摘まなかったけれど、いつもならもっと働くのよ」
しかも、お昼は果物、落花生などで簡単に済ませるとのこと。このような生活が3、4カ月も続くそうです。
「でも、茶摘みは大変な作業だし、若い人が町に出稼ぎに行っているので、人手が足りなくて茶畑が廃れていきそう。寂しいわ」
鄭さんの息子さんは今年21歳。現在は江蘇省常熟市でコックをしています。出稼ぎ労働者の1人です。
「息子が戻ってくるのは、年に1回だけ。小さい頃は私と一緒によく茶摘みをしたけど、いまは全然しないのよ。若い人はみんな都会に出ているので、茶摘みをするのは40代以上の人ばかり」
鄭さんはため息をつき、続けて、「村には年寄りばかり残されているの。茶摘みが間に合わずに、芽が葉になってしまうと、製茶できなくなる。このままでは、茶園が廃れていくかも」と心配そうに言いました。
黄山市農業委員会の資料によると、去年の出稼ぎ労働者は32万人に上り、18歳~40歳がその7割を占めているということです。「次世代農民工」と言われる20代の若者は、農業生産の基本技能を持たず、都市の生活にすっかり馴染んでいます。
その日のお昼は、鄭さんのお家でご馳走になりました。私たちを送る際、鄭さんはこういいました。
「子供たちが戻ってこなくても、私は動ける限り黄山毛峰の茶摘みを続けたい」(文章:陳博)
©MORI Kiyoshi
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