何時間見てても飽きません パンダの前には人だかりが……
「どうして日本人ってそんなにパンダが好きなの?」
と、中国人の友達からも、今回取材に参加した閔アナウンサーからも聞かれたことがあります。中国人、特に北京に住む人たちにとっては、気持ちの上ではすでにパンダは紫禁城と一緒で、「だからどうした?」というぐらいの位置づけのようです。
私自身、日本人の友達に熱狂的パンダファンがいて、北京動物園に連れて行った時も、しばらくパンダの前から離れず、山のように写真を撮っていました。これが"パンダLOVE"というものか、と半ば驚き、半ばあきれという目で見ていました。とはいえ私も初めて子供のパンダを見た時は、確かに「きゃーっ、かわいいっっっ!」と叫んでいたような覚えがありますが……。
阿部展子さんと飼育員の潭金涛さん
今回、成都で会った日本人女性・阿部展子さんも、まさにそんな「パンダ好き」。でも彼女がちょっと違ったのは「パンダとふれあえる仕事がしたい」と思ったこと。そこで中国語を習得し、中国でパンダを学び、そして今、卒業研修としてパンダと毎日接するまでになりました。もちろんこうなるまでには大変なことも沢山あったと思いますが、日本のパンダ好きには本当にうらやましい話です。
成都大熊猫繁育研究基地の入口 張志和主任
さて、今回の取材で我々は成都大熊猫繁育研究基地を訪問しました。もちろん、四川大地震による被害やパンダたちへの影響を聞くためですが、その一方で、パンダに会いたいという「下心」があったのも事実ですが。この研究基地は成都の中心から北東へ10キロほどのところにあります。四川のパンダといえば、日本では壊滅的な被害を受けた臥龍中国パンダ保護センターも知られていますが、ここ成都の基地は目立った被害はなく、パンダの心理面での影響もなかったそうです。話を伺った張志和主任によると、「パンダは野生動物であり、自然環境下なら災害はいつでも起こりうることで、被害にあったとしても立ち直る力がある」と話していました。
パンダたちものびのびしています
説明のあと生後1歳半ぐらいのパンダたちが暮らす屋外飼育場に向かいました。そこでたまたま、パンダにエサをやりにきた飼育員の譚金涛さんと会いました。すると、ここに日本人が研修に来ているよ、とのこと。せっかくだから、と譚さんはその日本人を紹介してくれました。
こうして会ったのが阿部展子さんです。卒業実習として3ヶ月間、この研究基地にいるそうです。毎朝パンダの運動場にある食べ残しやフンを始末しているそうですが、このフンが意外なところに落ちているので、それを探すことが最初のうちは大変だったと言います。
かわいいパンダたち
しかし、何よりも一番大変だったのは言葉の壁だそうです。これだけ長く中国語を勉強してきたのに、どうして?と聞くと、
「パンダたちは四川の言葉にしか反応しません。名前を呼びかけるにしても、普通話では『ヤーザイ』というのに、四川の言葉では『ヤザーイ』なので、ちゃんと四川の言葉で呼ばないと応えてくれません」
そう語る阿部さんですが、とにかく毎日が楽しいといいます。日本の大学で4年間中国語を勉強したあと、中国の四川農業大学で学び、そして実習という形ではありますが、ついにその夢を叶えました。今後はあと1ヶ月ここで実習をしたあと、大学に戻り論文を書き上げて卒業することになりますが、進路はまだ決まっていないそうです。
「できれば1年ぐらいここで働きたいのですが……」
と不安げな顔で話していました。
私は是非ここで働いて欲しいと思いました。この研究基地は日本人観光客も多数訪れる場所で、基地内の表示や説明などには中国語と英語、韓国語の他に、日本語も書かれていました。それはいかに大勢の日本人観光客がここに来ているかということの現れでもあります。阿部さんがここで働けば、そんな日本人にもパンダのことをより深く知るための大きな支えとなるに違いありません。飼育員の潭さんも、阿部さんのことをとても熱心に働いていると高く評価していたので、大丈夫なのではないでしょうか。頑張れ、阿部さん。日本のパンダ好きの1人として、楽しみにしています。
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |