待ちに待った北京オリンピック。8月6日からはいよいよ予選競技が始まりました。
7月25日のチケット最終販売の日に売り場に行っては見たものの、長い列を見て、チケットを買うのをあきらめ、マラソンとか自転車とかを沿道で見られるだけでも良いかと思っていた私のところに、運よくチケットが回ってきました。それも、なんと天津で行われるサッカーの日本戦チケットです!
私は生まれてから日本で行われるオリンピックを3回、東京・札幌・長野とテレビでは見てきましたが、実際に会場に足を運んで見たことは一度もありませんでした。なので、オリンピック競技の中でも一番見てみたかったサッカーの日本戦がスタジアムで見られるということの幸運に驚くとともに、チケットが手に入らなくて観戦に呼べなかった家族にとても申し訳ないなと思いました。
一緒に天津へ行くメンバーはCRIや日本のメディア関係の方々を中心に全部で5人。みんなワクワクしながら、北京から最新の中国新幹線に乗って天津に向かいました。メンバーの中にはフリーアナウンサーの方や某局の元解説委員の方まで混じり、オリンピックはもちろん、各種スポーツから外交問題、中国生活の心得等、実に話題が豊富で、午前中に北京を出てから天津のサッカースタジアムに到着するまで、充実した楽しい時間を過ごすことが出来ました。
そして、いよいよサッカースタジアムへ。私たちのチケットは連続番号ではありませんでしたので、私はCRIのMさんと一緒にスタジアムの厳重な安全チェックを通りました。スタジアムへ向かう階段を上りながら、オリンピックの行われる2008年の北京に暮らし、体験していることの大きな価値を、私は改めて感じました。天津のスタジアムも5月に行った鳥の巣同様曲線が美しく、中に入った感じが明るく、素晴らしい建物でした。そして、私たち2人は2階席のコーナーキックのよく見られる位置に座りました。
入場するとちょうど日本の国家斉唱が始まっていて、オリンピックムードが一気に高まってきました。日本は青、アメリカは白のユニフォームです。スタンドの観客は7、8割は埋まっている感じで、地元中国戦でなくてもオリンピックを実際に見たいという中国人の熱気が感じられます。
そして、いよいよキックオフ。スタジアム全体が大きな歓声に包まれます。「ニッポンがんばれ!」「U・S・A!」「ジャーヨウ!」日本語、英語、中国語の応援がスタンドにこだまします。私の席の前はちょうど通路で、アメリカの国旗をマントにした若者も行き交い、アメリカへの応援を盛り上げます。応援の雰囲気は全体的にアメリカびいきのような感じもして、日本は少しアウェーのようです。
前半は日本に大きなチャンスが2回ありましたが無得点。後半に入ってすぐ、アメリカが得点し、スタンドからは轟音のような歓声と大きな拍手。以後相互にチャンスがありましたが、日本も得点できず残念。試合は0対1でアメリカの勝利となりました。
試合終了後、スタジアムの外に出てみると、アメリカの勝利に喜んでいるグループを見つけたので、私は「おめでとう!」と声をかけに行きました。握手をし、写真を撮りながら話していると、彼らも私たち同様試合結果以上に、オリンピックをスタジアムで観戦し、母国を応援することが出来たことの喜びに浸っているようでした。
開幕前夜の天津で、私たちは世界中から人々集うオリンピックの素晴らしさを早くも肌で感じることが出来ました。
そして、今夜はいよいよ開会式。中国の人々の描く「一つの世界・一つの夢」をじっくりとテレビで楽しんで見てみたいと思います。(文・写真 田邊潤)
【プロフィール】
1957年生まれ 早稲田大学教育学部卒 筑波大学体育研究科大学院修士課程修了 専門スポーツは陸上競技 早稲田大学本庄高等学院 教諭 早稲田大学スポーツ科学部講師 2008年4月ー2009年3月 早稲田大学から北京大学への交換研究員
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