この一週間、北京は急に暖かくなってきて、北京市内には「春の風物詩」柳ジョが飛び交っています。これは柳科の樹木の実で、まるで小雪が舞うような風景は幻想的ではあるのですが、これによってアレルギーを起こす人こともいるそうです。もし、この時期、北京を訪れるなら、マスクを用意されたほうがいいかもしれません。
今週は、国家スタジアムの一般公開、そして米のCNNキャスターが中国人を侮辱する発言をした問題などが話題となっています。また中国のネットユーザーの間に広がっているフランス製品不買運動なども大きな波紋を呼んでいます。まずは、これらの情報をざっと振り返りましょう。
今週の金曜日から、北京五輪の開幕式と閉幕式が行われる国家スタジアムで初めての大会が行われ、その内部が市民に一般公開されます。国家スタジアムで開催されるのは競歩とマラソンの五輪テスト大会で、いずれも国家スタジアムがゴール地点となります。
「鳥の巣」との愛称を持つ国家スタジアムは去年の年末までに竣工する見込みでしたが、先週の土曜日にトラックの舗装工事がようやく終わり、ほぼ完成しました。
今回ここで行われる競歩の大会は、男子20キロ、女子20キロと男子50キロの三つの種目が予定されており、10の国と地域から138人が出場します。このうち、去年の世界ランクトップ10に入っている選手も3人いるそうです。今回のテスト試合を取材する国内外の記者は1100人を超えており、記者の数は、これまでのテスト大会の中で、最も多いということです。
先週末から、市民らは国家スタジアムの窓口などで、競歩とマラソンのチケットを買うため、長い列を作っています。チケットの価格は50元と80元、日本円にしておよそ730円と1160円です。この3日間で、鳥の巣を訪れる観客は延べ10万人にのぼるといわれています。
五輪の開幕式のための準備作業がまだ終わっていないため、今回、市民が入場できるのは、スタンド下段の一部分だけです。今週の月曜日から、「鳥の巣」の周りに高さ2メートルのフェンスが設置され、各入り口には、警察官が配備されました。関係者によりますと、鳥の巣の内部では、厳しいセキュリティチェックが行われているそうです。
五輪テスト大会を兼ねた射撃のワールドカップが北京郊外の北京射撃場で12日、開幕しました。射撃は北京五輪で中国が最初に金メダルを獲得することが予想されている競技で、中国が最も力を入れている競技の一つです。初日に行われた10mライフルには中国のエースで、同種目の世界記録保持者、杜麗が出場。3位に終わったものの、安定した射撃を見せ、五輪に向けた順調な調整ぶりを伺わせました。杜麗にオリンピックの目標を聞きました。
「オリンピックの目標はとにかくベストを尽くすこと。その上で、メダルが取れれば何よりである。プレッシャーは確かにある。私たち中国人選手にとって、北京五輪の持つ重みは相当なものである。けれども、このプレッシャーを感じられるのは、人生にただ1度。五輪が終われば、もう一生、このプレッシャーを感じることができない。だから、これを自分を鍛えるすばらしい機会だと考えている」と杜麗が話しました。
この北京北郊外に新築された北京射撃場ですが、海外から訪れた選手の誰もが「世界一の射撃場」と口をそろえて言うそうです。その規模、デザイン、設備の合理性など、いずれも世界に類を見ない素晴らしい会場だと言われています。これは射撃を非常に重要視する中国の姿勢の表れともいえるでしょう。ちなみに、大会は21日まで行われます。
このほど、IOC・国際オリンピック委員会の終身名誉会長サマランチ氏は、スペインの新聞社のインタビューを受けた際、「オリンピックを利用して中国に反対することは不公平だ。北京オリンピックが成功すると信じている」と述べました。
サマランチ氏は、この中で「オリンピックをボイコットすれば、犠牲になるのは結局スポーツ選手だ。政治とスポーツを分けて扱ってほしい。オリンピックが利用されることはよくない」と語りました。
その上で「中国について長年の理解を持っており、中国を尊重している。中国は、スポーツも含めて様々な分野でめざましい発展を遂げてきた。北京オリンピックの成功を確信している」と述べました。
スウェーデンのラインフェルド首相も北京で、五輪の聖火リレーで起きた妨害行動に反対すると明言しました。ラインフェルド首相は、「北京五輪の成功は世界にとっても良いことである。北京五輪の成功を願う」とした上で、「スウェーデン選手は積極的に北京五輪に参加するほか、スウェーデンのメディアも事実に基づいて北京五輪を報道する」と語りました。
アメリカオリンピック委員会のユベロス会長も15日にシカゴで、アメリカは600人に及ぶ選手団を北京五輪に派遣することを明らかにしました。
ユベロス会長は、「北京五輪をボイコットしない」と改めて強調し、北京五輪の開幕式への参加拒否をした人に対して、「その入場券を各国の選手の家族に譲ってほしい」と冗談交じりに話しました。
ところで、米のCNNテレビのキャスター、ジャック・キャファティ氏は、9日にサンフランシスコで行われている聖火リレーのテレビ中継の中で、「中国製品はゴミだ」、「過去50年間、中国人は常に暴徒であり、悪質分子であった」と中国人に対して侮辱的な発言をしました。その後、中国系アメリカ人や華僑たちはインターネットなどを通じて、CNNとこのキャスターに対して猛烈に抗議しました。
中国外務省の姜瑜報道官は15日北京で、「中国側は、米国CNNテレビのキャスター、ジャック・キャファティ氏が中国を侮辱した言論を撤回し、中国国民にお詫びをすることを要求する」と述べました。姜瑜報道官はその中で、「テレビを通じて、中国と中国の人々を侮辱したことは、ニュースキャスターとしての職業モラルと、人間としての良識を疑わざるを得ない、それは彼の傲慢さや無知、そして中国人に対する敵意を表すものだ」と強く非難しました。
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