日本の国会にあたる中国の全国人民代表大会が5日から18日まで、北京の人民大会堂で開かれています。今年の全人代は第11期大会第一回会議で、2988名の代表が全国各地から北京に集まり、会議に参加してます。今回はそのうちの3名の代表が特に注目を集めています。彼らは農民工という農村出稼ぎ労働者から選出された人で、全人代史上初めての農民工代表となりました。
康厚明さんは重慶代表団の農民工代表です。建築現場で働いている康さんは農民工の養老保険や労災保険に最も関心を持っています。
「いま、重慶では、農民工のための養老保険や労災保険の暫定規則が一部のテスト地区で実施されています。しかし、それに加入している農民工の数は限られており、普及していません。また、農民工の住宅事情も差し迫った問題の一つです。われわれの所得は都会人と比べると、かなりの差がありますので、政府が措置を講じて、われわれ農民工たちに低家賃の住宅を提供してほしいですね」
今年34歳の胡小燕さんは広東省の農民工代表です。10年前、胡さんは故郷の四川省を離れ、広東省へ出稼ぎに出かけました。いま、胡さんには11歳の双子の子供がいます。母親として、胡さんは農民工の次世代の教育問題に関心を寄せています。
「私には二人の娘がいます。すべての母親と同じように、子供の教育問題をいろいろと考えています。親としては、子供が自分の近くにいてほしいなぁと思いますけど、都市部では、出稼ぎ労働者の子供向けの学校はまだ少ないです。でも、いま、農村では、義務教育は無料となり、一部の学校に学生寮が設置されました。これはわれわれにとっては、たいへん助かりました」
3名の代表と2億人の農民工、かなりの差がありますけど、これは政府が農民工の利益を守る決意を示したものと言え、農民工にとっては自分を守る上で確かな一歩を踏み出したことになります。農民工代表のほかにも、今回の全人代代表のうち、一般労働者からの代表は前回より倍増し、農村からの農民代表も7割以上も増えたということです。これからの全人代では、農民工代表の数はきっと増えるに違いありません。また戸籍制度の改革や、工業化社会の進展につれて、「農民工」という呼び方もいつかはきっと消えるのではないでしょうか。(終わり)
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