中国国家統計局は19日、1月の消費者物価指数・CPIを発表しました。それによりますと、昨年同期に比べますと、1月のCP?は7.1%上昇して、11年ぶりに7%の大台を突破しました。中でも、食品価格の上昇幅が18.2%に達したこと、そして、農村地区の上昇幅が7.7%で、都市部を上回ったことという二点が注目されています。
食品の中で、とりわけ高いのは食用油、肉製品と豚肉で、それぞれ37.1%、41.2%、58.8%上昇しました。それでは、CPI上昇の背景はどこにあるのでしょうか。
国家統計局のヨウ景源チーフエコノミストは、その背景には三つの要素が働いていると指摘しています。
「先ずは、2月7日からの春節に備えての買出しの影響。旧正月の春節には中国人は買出しをする習慣があり、毎年、春節前に、物価がある程度上昇します。
それから、1月に起きた広範囲の雪害や凍結による被害の影響です。
三つ目は、去年同期のCPIが低くて、その前の年に比べてわずか2.2%しか上昇していなかったことです。」
一方、中国社会科学院金融研究センターの王松奇主任は、CPI上昇を短期的要素と長期的要素に分けて、考えています。
「確かに、短期的に見れば、春節、雪害などの要素が影響しています。しかし、世界の生産者物価指数の値段が絶えず上昇しているという長期的な影響も無視してはなりません。世界の原油価格、鉄鋼価格が値上がりしつつあり、消費財の価格も値上がりしました。中国はハイコストの時代を迎えました。」
なお、CPIの今後の成り行きについて、数多くの専門家は「まだピークになった訳ではない」という見方を示しています。とりわけ、雪の被害の影響で、2月のCPIも上昇することが予測されています。
エコノミストの梁小民氏は、「雪の災害の影響は確かに一時的なものですが、しかし、食品供給が逼迫した上に、運賃も上昇したため、影響を受ける期間はそれほど短期間ではない」と見ています。
また、社会科学院金融研究所の易憲栄研究員は、雪が農業生産に影響し、復旧にはまだ時間がかかるため、農産品価格の上昇は必然的な動きで、このことは2月のCPIに現れるに違いない」と見ています。
マクロ経済アナリストの諸建芳氏は、2月のCPIは引き続き7%以上の高い数値を保ち、今年上半期のCPIは全体的に6%以上で横ばいとなる。そして、下半期になって下がるだろうと予測しています。国家統計局のヨウ景源チーフエコノミストはこれに近い見解をもっています。
「各種マクロ規制の発動により、下半期になれば、CPIの上昇幅が少しずつ緩やかになると思います。」
一方で、1月のCPIの急上昇はある程度予測の範囲であり、またアメリカ経済の成長が伸び悩むことの影響を中国経済も受けるのではないかという懸念もある。従って、中国の中央銀行が直ちに金融引き締め政策に走ることはないという見方が強くなっています。(整理:Yan)
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