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全人代の農民工代表ーー朱雪芹さん | 日本の国会にあたる中国の全国人民代表大会が5日から18日まで、北京の人民大会堂で開かれています。今年の全人代は第11期大会第一回会議で、2988名の代表が全国各地から北京に集まり、会議に参加してます。今回はそのうちの3名の代表が特に注目を集めています。彼らは農民工という農村出稼ぎ労働者から選出された人で、全人代史上初めての農民工代表となりました。
1978年に改革開放政策が実施されてから、中国経済は急速に発展しました。産業構造の調整によって、多くの農村余剰労働力が農村を離れて、都市に流れてきました。これら農村からの出稼ぎ労働者は「農民工」と呼ばれています。関係部門の統計によりますと、いま、中国には2億人近くの農民工がいるということです。彼らは建築業、製造業、輸送業などで働き、都市建設や産業発展の重要な力となっています。
しかし、現在、中国では都市部と農村部という2種類の戸籍制度を実施しています。農村部の戸籍を持っている農民工たちが都市部で生活するには、医療や社会保険、子供の教育などさまざまな困難に直面します。また、農民工全体の教育レベルが低く、法律意識も乏しいため、合理的な権益が犯されても自分を守る方法が分からない人も多いようです。これは社会の公平性にマイナスの影響を与えることから、政府や社会各界の注目を集めています。こうした状況の中、今回の全人代に初めての農民工代表が誕生したのです。
朱雪芹さんは上海代表団の農民工代表です。1995年、朱さんは高校を中退した後、上海のある日系アパレルメーカーで働くようになりました。最初の頃、朱さんはミシンをうまく操作できず、けっこう悩んだそうです。でも、勤勉な朱さんは毎日3時間自分で練習し、ようやく作業場のベテランとなりました。1998年、朱さんは優秀社員に選ばれ、3年間日本の工場へ派遣されました。日本にいる間、朱さんは自ら日本語やパソコンを勉強し、いまは作業場の主任となり、職場の通訳も兼ねています。「知識は運命を変えることが出来る」と朱さんは自信満々に語っています。では、全人代の代表として、朱さんはどんな問題に注目しているのでしょうか。
「いま、最も関心を寄せているのは、農民工の教育問題です。われわれ農民工たちは農村から都市へ出稼ぎに来ているので、もともとの教育レベルが低いです。しかし、都市の発展はとても早いので、急いで勉強しないと、いろんな面で都会人に遅れてしまうんですよ」
「知識が運命を変える」、これは朱さんが自らの経験の中から悟ったものです。いま、農民工が一番集まっているところは北京や、上海、広州のような大都会です。このような大都会で働き、都会人の生活に馴染むには、知識が不可欠なものです。どんな政策をとるべきか、朱さんは自分の提案を語ってくれました。
「農民工のほとんどは流動人口です。今日は上海で働き、明日は広州へ行くかもしれません。もし国が農民工を含む流動人口に対して、専門の知識を習得する学校を開いてくれたらいいなぁと思います。このような学校を上海や北京、広州のような大都市に設置して、一度登録すると、たとえ上海を離れても、残りの学業は次の都市で続いて勉強できるようなシステムがあるとありがたいです」。(つづく)
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