2008年は、中国にとってどのような一年になるのか。1月2日付けの『中国青年報』が注目される動きについて以下のように予測しました。
経済の安定的な成長
5年連続して10%以上の成長を保ってきた中国は、2008年も安定的に成長できるでしょうか。これは社会各界から広く注目されている課題でもあります。
2007年年末に開かれた中央経済活動会議は、今年のマクロ規制の主な課題は、「経済成長が速めから加熱にならないように、物価が構造的な上昇から顕著なインフレにならないようにする」ことにあるとしています。
2007年に入ってから、物価が継続的に上昇し、インフレの圧力が強くなっています。8月から、住民の消費者物価指数が4ヶ月連続で、前年同期に比べて6%も上回り、とりわけ、11月の上昇幅は6.9%に達し、ここ10年で最高を記録しました。
インフレが経済の安定的な運営の一番大きな懸念要因となったため、2008年のマクロ規制政策は大きく見直しを余儀なくされ、これまで十年間実施してきた安定的で、堅調な貨幣政策が引き締め政策へと転換されました。
春に第十一期全人代と政協会議が開催
第十期全国人民代表大会と政治協商会議はこの3月で任期を終え、春に、第十一期の会議が開かれ、新しい国家指導者が選出されます。
昨秋の中国共産党第十七回大会では、中国の経済建設、政治建設、文化建設、社会建設と党の建設についての全体的な計画が決まりました。これを受け、春の全人代と政協会議は国家にかかわる重要な方針や民生に関わることについて議論し、審議することになります。
今回の二つの会議は今後5年、ひいては、もっと長い間にわたって、中国の経済、社会の発展に深い影響を及ぼすことが予想されます。
第29オリンピック大会の開幕
2008年8月8日、第29回オリンピック大会が北京で開幕されます。世界中のトップアスリートが28競技、302種目をめぐって戦いを繰り広げます。会期は17日間。五輪が終了した後、9月6日からはパラリンピックが開催されます。
アジアで五輪が開催されるのは、今回で三回目となります。一回目は1964年の東京五輪で、二回目は1988年のソウル五輪。いずれもホスト国は経済が好調で、世界に向けて大々的にアピールできた大会でした。今回の北京五輪は「一つの世界、一つの夢」をスローガンに、単なるスポーツの祭典を乗り越え、開放され、調和の取れた中国の新しい姿を全世界にアピールしていくことが期待されます。
改革開放30周年
2008年、中国は改革開放30周年の年を迎えます。1978年末、画期的な意味を持つ中国共産党の第十一期中央委員会第三回総会が開かれ、改革開放政策の正式な幕開けを宣言しました。それ以降、中国は階級闘争から経済発展を中心とする国づくりを始めました。改革開放政策は農村から都市へ、経済から社会全般へと広がりました。30年の実践により、中国は中国の特色ある社会主義の道を切り開くことができました。
法制度の整備で社会の公平性と調和を促す
社会の公平性と調和を促すため、2008年には一連の重要な法律が施行されます。これらの法律には『労働契約法』、『企業所得税法』、『独占禁止法』、『都市農村計画法』、『就業促進法』などが含まれています。
このうち、2008年1月1日から施行される『労働契約法』、『企業所得税法』はすべての従業員と企業に大きな影響を与えます。『労働契約法』は労働契約の締結と従業員の安定的な就業環境を守る上で、法的な根拠を提供します。また、企業所得税法の実施により、これまで内資と外資との二本立てになっていた税金体制は、内外資の同等な扱いが実現しました。この制度改正は、国内企業が多くのメリットを享受できるだけでなく、外資の質と構造の改善にも役立つと見られています。
また、『独占禁止法』は2008年8月1日から施行されます。この法律は、経営者同士が談合により、市場での支配的地位を乱用することを禁止し、経済の健全な発展に大きな影響を及ぼすものと見られています。
中国の宇宙飛行士、初の宇宙遊泳へ
2008年、中国は有人宇宙船「神舟7号」を発射する予定です。この計画では、中国の宇宙飛行士が初めて宇宙船から出て、宇宙遊泳をすることになります。
「神舟7号」の発射は、中国の有人宇宙飛行プロジェクトの新しい一里塚となるでしょう。これまでの「神舟5号」「神舟6号」では、宇宙飛行士は、主としてキャビンの中で操作したり、活動していましたが、「神舟7号」からは、宇宙飛行士の能動的な活動を高められます。その分、各自の身体能力や技術、心理的要素に対しても、高い要求が求められています。
現在、「神舟7号」は総合テストの段階に入り、楊利偉、費俊龍、聶海勝などこれまで有人宇宙飛行に参加したことのある飛行士を含む14人の宇宙飛行士が、訓練に参加し、選抜作業に携わっています。なお、「神舟7号」を打ち上げる「長征2号」Fロケットは現在、組み立てが行われています。
中国の国家元首、10年ぶりの訪日へ
2008年は『中日平和友好条約』締結30周年の年です。2007年末、日本の福田康夫首相が訪中した際、双方は、中国の胡錦涛国家主席が2008年、桜の季節に訪日することで合意しました。これは中国の国家元首の10年ぶりの日本公式訪問となります。
中国は日本とともに、ハイレベル相互訪問を通して、中日平和友好条約締結30周年を記念します。中日両国は三つの政治的文書の原則を遵守し、「歴史を鏡とし、未来に目を向ける」精神に則り、対話と協議を通して、相互信頼と理解を促していくことになります。今年はまた、「中日青少年交流年」でもあり、青少年同士の交流を初め、民間交流を一層拡大し、両国人民の友好的な感情を深め、中日の戦略的互恵関係の構築と発展のために努力し、中日の善隣友好と互恵協力を共に切り開いていくことになります。
民生に対する資金投下を拡大
2008年、中国は国民の生活改善により多くの資金を投入る予定です。
医療衛生体制の改革は国民の切実な利益に関わっています。2008年、都市と農村の医療衛生体制の改革が段階的に実施されます。都市部では、住民の基本的医療保険のモデル地区が拡大され、農村部では、新型農村協力医療制度がほぼ全土をカバーすることになり、その補助金の額も倍になります。
2008年はまた、全国範囲での義務教育の無料化が実現する年で、中国の教育発展の歴史において画期的な年となります。また、住宅保障システムの整備や、低所得層向けの住宅確保にも力を入れていく予定です。(『中国青年報』より、王小燕整理)
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