今年も年の瀬が迫ってきました。この一年、中国経済は喜ばしい成果を遂げました。
中国経済は安定的な高度成長を保ち、都市部と農村部ともに、住民の所得が眼に見えて高くなり、省エネや汚染物の削減においても新しい成果を収めました。
今年の中国経済の動きをどのように見ているのか、中国国際放送局の記者が最近、内外の政治家、学者、国際機関の関係者に話を伺いました。
今年の1月から9月までの間に、中国のGDP・国内総生産は16兆元を上回り、去年の同じ時期に比べ、11.5%の伸びとなりました。専門家は、通年ベースでも、GDPの伸び率が11%を超えることは確実になったと見ています。EU・欧州連合の中国駐在代表団のジェッセン副団長は、中国経済の高度成長を高く評価しました。
「2000年、中国政府は今後十年でGDPを2倍増するという目標を掲げました。今のペースだと、中国政府は必ずや第十一次五ヵ年計画で掲げた各目標を実現することができる、と私は信じています。」
今年に入って以来、中国の個人消費は比較的速いスピードで成長し、1月から9月までの間に、個人消費の経済成長に対する寄与率が37%に達しました。これに比べると、輸出と投資はかなり見劣りがします。1月から9月までの間に、輸出は前の年の同じ時期に比べてわずか0.6%しか伸びておらず、投資のほうは逆にやや下落しました。
マイケルさんはイギリスの世界最大手の不織布メーカーの北京駐在員です。マイケルさんは、住民の所得の増加と社会保障の範囲の拡大が、中国の消費レベルを引き上げた主な原因だと見ています。
「中国の個人消費が急速に伸びた理由は、人々の生活スタイルや、所得レベルが高まったからだと思います。」
統計によりますと、今年の1月から9月までの間に、中国の都市部住民の一人当たり平均所得と、農村部住民の可処分所得はそれぞれ13.2%と14.8%増えました。
このほか、今年は、中国の社会保障の範囲がさらに拡大し、養老保険、医療保険、失業保険など社会保険を受給する人数も増えています。IMF・国際通貨基金の中国駐在首席代表のアローラさんは、社会事業に対する資金投入の拡大を高く評価しました。
「中国政府は医療や教育など、一部の社会分野への支出を増やしました。これはたいへん喜ばしい現象です。何故ならば、この動きは、人々の生活レベルの向上だけでなく、マクロ的な視点からみれば、経済発展のバランスを保つ上でもプラスになっているからです。」
2007年のこうした成果は、簡単に成し遂げられた訳ではありません。いくつもの難題を無事乗り越えたから得られたものです。具体的には、去年から、投資の成長が早すぎ、信用貸付も過剰になり、さらに、貿易黒字の急増などの問題も顕著になりました。今年に入ってからは、物価の上昇が速すぎるという新しい問題も起きています。経済の安定的な発展を保証するため、中国政府はマクロ規制の手段を一段と増やし、経済のコントロールに通貨政策を活用するようにしました。これまでに中国の中央銀行である中国人民銀行はすでに5回の金利引き上げと10回の預金準備率の引き上げを実行しました。この二つの手段は、中国人にとって以前はあまり馴染みの薄いものでしたが、今では、マクロ経済の規制で最もよく使われる手段となりました。こうした金融政策の実施により、中国経済の伸び率は第二四半期の11.9%から第三四半期の11.5%にまで抑えられました。
このほか、省エネと汚染物の削減もマクロ規制の重要な手段のひとつとなっています。今年、中国は汚染度やエネルギー消費が高く、資源を多く用いる製品500品目に対して、輸出関税の還付政策を取りやめました。また、銀行など金融機関はエネルギーをたくさん使い、汚染度の高い企業に対する融資を減らしたり、停止したりしました。
中国の環境当局が年末に発表した数字によりますと、1月から9月までの間に、中国のGDP単位あたりのエネルギー消費は、去年の同じ時期に比べ、約3%下がり、また二酸化硫黄やCOD(化学的酸素要求量)など、主な汚染物の排出量もいずれも減少しました。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC) のパチャオリ事務局長は、このほど閉幕したばかりの国連の気候変動問題に関する会議で、中国の取り組みを評価しました。
「中国は、太陽エネルギー、風力エネルギー及びその他の再生エネルギーの利用において、努力を続けています。中国はまた、エネルギーの利用効率を高め、温室効果ガスの排出の削減にも努めています。」
海外の経済学者は、中国経済の急成長が世界に大きく寄与していることを認めています。IMFが今年発表した世界経済の展望に関する報告書では、今年、中国はアメリカを抜いて、世界経済の成長に最も貢献度の高い国になり、世界経済の成長への寄与率は4分の1に達すると指摘しています。これについて、IMFのジョンソン主任研究員のコメントです。
「購買力平均価格(異なる国の商品の価格比率をさす)で計算すれば、今年、中国は世界経済に最も貢献している国となります。IMFの報告書が、このことをこのようなはっきりとした記述で述べたのは、今回が初めてです。」
中国経済は2007年、著しい成果を収める一方、問題点も無視することは出来ません。今、一部のエリアでは、投資ブームが相変わらず見られ、信用貸付が更に膨張するという圧力にも直面しています。さらに、物価の上昇の問題もあります。これらはいずれも中国経済の安定的で、急速な成長を脅かす要素です。このため、このほど終わったばかりの中央経済活動会議で中国政府は、来年、中国のマクロ規制の主な任務は、経済の過熱とインフレを防止することにあると指摘しました。
世界銀行が発表した報告書では、マクロ規制の強化により、来年、中国の経済成長の勢いはやや下落するものの、経済運営の安定性は次第に強まるだろう、と指摘しています。世界銀行中国局の杜大偉局長は、来年以降の中国経済の動きについて、「2008年の中国経済の成り行きについては楽観視している。世界経済は下り坂に入ったが、中国はマクロ規制に踏み出した。かりに、世界経済が大幅な下落を見せるとしても、中国は財政政策によって経済を良好な状態で運営することができるだろう」、と引き続き順調だと見ています。(翻訳:Yan)
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