ーー石景山区の周茂非区長へのインタビュー
スピード感を増すばかりの現代都市生活、「憩い」の要素が生活の各方面で人々を惹きつけるようになっています。北京でも、「首都文化・レジャー・娯楽区」英語ではCRD(Capital Recreation District)の建設がスタートし、新しい地域経済作りの試みが静かに動き出しました。
北京市の西にある石景山区、天安門からおよそ16キロ。地下鉄で約20分、バスでなら40分ほどのところにあります。面積は86平方キロで、人口は32万人余りの区です。
「石景山区」は「石」に、「景色」の「景」に、「山」と書きます。区内にある「石景山」という山に因んだ名前です。紀元前21世紀から、紀元前11世紀までの夏や商の時代からすでに記録に残されており、悠久の歴史を持っています。また、区内の名勝地としては、壁画で知られる法海寺や天台山の慈善寺、八大処公園、紅葉狩りの名所香山公園、そして北京の歴史で最も初期の頃の水路工事である房陵ダムなどがあります。
北京市にある16の区と2つの県のうち、石景山区は代表的な工業地区で、首都鉄鋼工場を初めとする数十もの国有大型企業や300以上の中小企業がここに集まっています。しかし、2008年までに、首都鉄鋼工場が河北省の曹妃甸へ移転することになり、経済的な支柱をまもなく失う石景山区がいかにこの財政的な空洞を補うのか、北京市民のみならず、国の内外からも注目を集めています。これについて、北京放送東京特派員の傅穎記者がこのほど東京で石景山区の周茂非区長にお話を伺いました。周区長の話は次のように語ってくれました。
「首都鉄鋼工場の引越しに備えて、石景山区は「首都文化・レジャー・娯楽区」、英語では「Capital Recreation District」、通称「CRD」の建設に取り組んでいます。これまで、石景山区は重工業を初めとする第二次産業が中心の工業地区でした。去年、区内のGDPのうち、第二次産業が68%を占め、第三次産業は32%程度でした。首都鉄鋼工場の引越しによって、8平方キロの広い空地が生まれ、区内の産業構造を見直さなければなりません。いろいろと調査や研究を行なった結果、歴史文化や自然環境に恵まれた石景山区は文化・レジャー・娯楽区の建設に最適だという結論が出たのです。でも、その目標を達成するには、少なくとも10年から15年間はかかると言われています」。
では、CRDの建設を目指して、石景山区では、具体的にどんな対策を講じていますか。
これについて、周区長は「いま、石景山区では、「1、2、3、6」という四つの数字で表した産業構造計画を立てています。1は一つの科学技術パーク、つまり中関村石景山区科学技術パークを建設します。2は二つの観光エリア。つまり、東部の石景山遊園地や、国際彫刻公園を初めとする娯楽観光エリアと、西部の香山公園や八大処などの名所旧跡や景勝地を生かした生態レジャー・コンベンションセンターです。3は三つの産業基地です。一つは北京デジタル娯楽産業基地で、ネットゲームやアニメ・漫画の制作、デジタルムービー・ドラマ、ネット配信、またその派生産業を発展させます。第二は将来性のある中小企業向けの育成基地です。第三は、情報産業基地で、これからの石景山区の核心となる産業でもあります。6は六つの商業地区です。これらの商業地区は長安街の西の延長線沿いにあり、今後5年間で完成させる計画で、敷地面積は23万キロ、北京市西部の金融街になる見込みです」と語りました。
周区長の紹介を聞いていると、石景山区の発展の青写真が想像できますね。リスナーの皆さんはご存知かもしれませんが、わが北京放送もこの石景山区にあります。石景山区の発展は北京放送の事業拡大にもいろいろとチャンスをもたらしてくれるのでしょう。CRDの建設、本当に楽しみです。
石景山区は日本との友好交流も盛んに行っており、すでに東京の墨田区と板橋区と姉妹区の提携関係を結んでいます。今回のインタビューも先月、周区長が日本との交流のため東京を訪れた時に行なったものです。周区長は今後、石景山区と日本との協力について、次のように語りました。
「日本の企業は豊かな経験を持っています。一つは、優れた管理の手段で、もう一つは、先進的な技術です。また、中国の文化と日本の文化には類似性があり、お互いに共通の部分があるため、学び合えるところもきっと多いでしょう。そして、日本のアニメ産業は世界をリードしており、石景山区のクリエーティブ産業の発展に、きっと良いアドバイスを提供してくれるのではないかと思っています」。
いま、石景山区は外国の優れた人材や技術、経験を導入して、CRDの建設に全力投球しています。もちろん、関連の優遇政策もいろいろと講じています。これについて、周区長は、「一つは中関村科学技術パークの優遇政策、もう一つは北京市が文化クリエーティブ産業に対して行なう優遇措置、そして、三つ目は石景山区が独自に出した優遇政策です。いま、石景山区は1億元を捻出して、区内の企業の発展に当てています」と述べました。
2008年の北京オリンピックを控え、石景山区の生態環境やインフラ施設の整備が一段と進んでいます。区内に7つのオリンピック競技場があり、射撃や、自転車など5つの種目の29個の金メダルがここから誕生します。
最後に、石景山区の周区長は北京放送を通じて、日本の皆さんへのメッセージを次のように語ってくれました。
「日本を訪れて、日本の皆さんの親切さや熱意、中国人に対する友好の気持ちを肌で感じ取りました。中日両国の友好が末永く続くよう願っています。そして、日本の皆さんも中国を訪問する際には、ぜひ一度北京の石景山区を訪れてみて下さい。Welcome To 北京! Welcome To 石景山区!」(取材:傅穎 文:劉叡琳)
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