中日の携帯電話、提携のポイントは?
Q 契約者数が5億近くに迫り、しかもこれからもまだ増加の勢いにある中国市場。NTTDoCoMoとしては、中国市場進出の戦略をどう考えていますか。
A 北京五輪の開催に伴い、日本から大勢の人が北京や中国を訪れることが予想されています。これを背景に、日中の携帯会社同士が提携して、日本の携帯利用者が中国に来られた時も、あたかも日本国内と同じような環境を提供していくことを考えています。こういった中国との移動通信ネットワーク作りのため、架け橋となることが、まずは基本です。
また、中国はこれから色んな携帯電話を使って発展していく大きなマーケットでもあります。我々は日本で経験したことを中国でも使ってもらえないのか。こういった観点から、移動通信の周辺ビジネスにおいても、良いチャンスがあれば、どんどん提携したり、出資したりして行こうと考えています。
さらに、明日のビジネスをも視野に入れています。我々は将来的なことを考えて、新しい技術の導入に取り組み、そしてそれに伴う技術とサービスの標準化に関して、日本と中国が提携して、お互いに研究しあって、アジアから新しい標準化を世界に向けて発信できないかということも考えています。
このほかにも、今は移動通信は便利だと良く言われていますが、同時に便利な分だけこわいものでもあります。例えば、日本では、携帯電話を使って犯罪が起きたり、見たくないようなメールが届いたりしています。中国でも似たような現象が起きています。従って、携帯電話が本当に世の中にとって、便利になるようにするといった面でも、日本と中国が提携して、マイナス面を減らすよう共に取り組むことも考えられるかと思います。我々にとって、こういう問題に向けての取り組みは、企業の社会的義務でもあると考えています。現在、こういった移動通信の健全化についても、中国の大学や研究所と意見交換をして、相談をしている最中です。
Q佐野所長は北京に駐在して7年になると聞いていますが、中国での仕事に対する感想は?
A 北京で最も強く感じたことは、日本人の中国を見る目の変化です。この10年ぐらいで、日本の人たちの中国への見方はまるきり変わってきたと思います。私が来たばかりの頃、日本から出張で来たビジネスマンには、中国のことに関して、一つ一つ詳しく説明していかないと、なかなか理解してもらえませんでした。それに比べて、今は、ずいぶん楽になりました。日本はもちろん、世界各国とも中国に関する関心度が高くなったことの現われです。
また、中国ではITや移動通信関連の仕事をしている人は、若い方が非常に多いです。若くて、知識欲が強く、何事にも真剣な人が多いです。何事にも真剣であるということは、遊びにも真剣であることをも含めていますが(笑)、時々、遊びを通してその人を知るということも必要になります。これはどこの国に行っても同じことですが、どんなことをしても、まずは互いの信頼感を築くことが大事ですね。
Q 中国では、携帯によるショートメッセージ(SMS)は毎日、10億通規模でやり取りされているようですが、佐野所長はこの中で、何通貢献していますか?
A (笑)そうですね。私は一日に、きっと少なくともは30通はやっていますね。
Q 来年の北京五輪に向けて、現在、取り組んでいることは?
A 私は今、中国に駐在しています。海外で生活を始めると、母国語を使ってコミュニケーションをとることが、どんなに気持ちの良いことであるかを実感しました。これと関連して、中国の携帯電話の中でも、日本語を使って、ショートメッセージのやり取りをすること、つまり、日中の間でショートメッセージができるようなサービスを目指して、現在、チャレンジしています。(聞き手:王小燕)
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