中国では、教師は神聖な職業です。中国語には、『桃李満天下』、つまり『至るところに教える子がいる』などと言った言葉がありますが、これらは、教師への賞賛の気持ちを表したものです。教師には、特殊な任務に就いている人もいます。彼らは、知能障害の子供を対象に教えるばかりでなく、母親役も努めています。それは、養護学校の教師です。遼寧省瀋陽市にある春暉養護学校の蘇潔校長は、色白で瓜実顔、その瞳から、しっかりした知的な人柄が伺える美しい女性です。蘇校長は、毎日知能障害の児童と一緒に生活しています。この仕事を始めてもう16年。蘇校長の引き出しの中に、手の跡がついた白いTシャツが大切に保管されています。これは、蘇校長が初めて教壇に立った日、よだれや鼻水を流す子供がくれた初めてのプレゼントでした。蘇先生は自分の仕事について、「この子たちは知能的に遅れているので、生活にも不自由しています。その上、情緒の変化も激しい。ですから、正常な人と同じように扱えません。普通の小学校では知識の伝授や、人格の育成が重んじられていますが、こっちは、お母さんのように世話をして、お医者さんのようにリハビリを助けながら、教師の仕事もしなければなりません。」と紹介してくれました。
16年間、蘇校長は、苦労を厭わず努めてきました。自閉症にかかった子を数時間かけてあやしたり、身体障害者に一口一口ご飯を食べさせたり、小便で濡れたズボンを洗うことまでありました。劉輝指導員は、「蘇校長は、特殊教育に対して特別な感情を持っています。学校が設立された当初、社会からはなかなか認めてもらえませんでした。教師たちは落ち込んでいました。しかし、蘇校長は子供たちと一緒に遊んだり、勉強したりして、その卑屈感がぜんぜんなかったのです。彼女の行動は、私たちにとっていい刺激になっています。子供たちの友人になれたことを誇りに思っています」と評価しています。
生活面での世話のほか、蘇校長は、知能障害の子のための教育方法を模索しています。彼らが卒業して、家族や社会の負担になることなく自分の力で生活できるように、知能障害者の特徴を考慮しながら、人生を切り開いてあげたいというのです。また、仕事の合間を利用して、彼女は、論文をいくつか書き上げ、「中国の模範教師」などとして表彰されています。蘇先生は、9月10日教師の日のエピソードを一つ語ってくれました。「私のクラスの子たちに、明日が何の日か知っているかと聞いたら、いろんな答えが返ってきました。『あけましておめでとう』、『誕生日おめでとう』。普通の小学校とやはり違うな、と思っていたら、ある脳性麻痺にかかった子が、一所懸命立ち上がって、『蘇先生、長いあいだ一緒にいてくれて、どうもありがとう』って言ってくれたんです。それを聞いたら、涙が溢れてきて止まりませんでした」と述べました。
蘇先生のように特殊教育に携わっている教師たちは、普通の教師と同じような幸福感を味わうことができないかもしれませんが、しかし、知能障害の子供たちとともに、精一杯何かをつかもうとしています。
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