遼寧省の盤錦市にある遼河油田は、海に近く中国で3番目に大きな油田です。そしてズグロカモメの生息地でもあります。ズグロカモメは、中国で一級の保護を受ける動物で、世界中にも知られる貴重な鳥類です。ここ数年、ズグロカモメの羽の数がだんだん増えてきています。これは、遼河油田の生態環境が改善されたおかげです。
遼河油田では、採油する作業場が多く、パイプラインも入り交じっています。石油採掘、処理が環境を汚染しかねない上、採掘後の汚染物の処理も難しいのです。石油の生産により引き起こされる汚染は、世界的範囲の環境問題です。従って、遼河油田は、どこの作業場も、どこのパイプでも、環境汚染を起こしやすいと言ってもいいでしょう。
遼河油田は1970年代の初期に採掘し始めたものです。その初期建設に身を投じた作業員、田明さんは、こう振り返り見ました。「油田現場は油ばかりでした。周辺の溝の中にも油が流れていました。葦の葉に油が付け、木の枝に油が垂れて、靴も作業服も油だらけでした」と語りました。
ここ数年、環境保護が、日増しに重視されるにつれて、遼河油田の管理層も、環境の改善を仕事の重要な一環としてきました。共産党委員会の劉振軍書記に話を伺いました。「設備の購入、環境改善プロジェクトの導入など環境保護に毎年2億元の資金を導入しています。これで、環境改善で、経済的・社会的そして環境的な効果を上げました」と、述べました。
遼河油田は、環境管理で世界的なやり方に従い、HSE管理手順とISO14001環境管理手順に準じています。このため、環境汚染事故はゼロ、採油汚水の再利用率は100%、排出汚水の標準合格率は100%、大気保護基準の国家2級に達しているなど、環境保護で喜ばしい成果を収めました。
また、汚染の防止と改善のほかに、遼河油田は、環境の美化にも莫大な力を払っています。92%の作業場が緑化基準に達しており、油田全域の緑化カバー率は36.5%に上っています。環境が改善されたことから、生態の状況も良くなりました。作業員の田亮さんは、「空に鳥が飛び、周辺の池で魚が泳ぐようになりました。夜、蟹も見られるようになりました。これは、以前には、見られないことでした」と、話しました。
石油を採掘している中国3番目の油田では、汚水がなく、煙もありません。今、ズグロカモメのほかに、30種類の貴重な鳥類を含む230種類以上の鳥が生息しており、毎年、百万人あまりの観客を引き付けています。汚染が起こりやすい石油産地である遼河油田は、今鳥の天国になっています。(李軼豪)
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