中国東北大学の王国棟教授は、中国工程院の会員で、鉄鋼材の開発分野で有名な専門家です。王教授は、鉄鋼新素材の開発、新技術の応用などで著しい成果を収めています。
遼寧省本渓市北台鉄鋼グループは、地方所属の企業です。これまで、付加価値の低い建築用鉄鋼しか生産してこなかったことから、困難な局面に陥っています。去年の年末、遼寧省関係部門は、『専門家が工業基地の振興に助力』と名づけた活動を発足させました。この中で、王国棟教授は、北台鉄鋼グループに派遣されました。王国棟教授は、長年、研究を重ねて開発した技術を提供して、製品の生産に当たりました。この新しい技術によって、貴重な金属を節約でき、コストを減らすと同時に、製品の質の向上も果しています。
新しい技術が生産に持ち込まれてから、わずか数か月で、1億元近くの増収が遂げました。これによって、会社の全員は『科学技術が第一生産力』であると身にしみて実感しました。
北台鉄鋼グループの陶子玉副社長は、収益について次のように話しています。「我が社と東北大学が協力して開発した新製品は、コストを1トンにつき103元削減します。新技術を利用して生産を始めて以来、80万トンを生産しました。これで1億元の増収を果しました。今も、東北大学と協力を続けています。これから、オートマチックコントロールシステムを持ち込むつもりです。そうすれば、製品の質を4パーセント向上できます。具体的に言えば、毎年更に1億元を増収できます」
陶子玉副社長は、さらに、人を奮い立たせるニュースを伝えてくれました。それは、今年3月に王国棟教授の紹介で、北台鉄鋼生産グループが、東北大学とコールド・ローリング冷間圧延の項目で全面的な協力を結んだことです。6月に生産を開始して以来、1千万元近くの増収をもたらしました。さらに、「この製品の売れ行きがよく、特に国際市場でよく売れます。1トンの価格は、普通の製品より500元高くなっています。1ヶ月足らずで、3万トンを生産しました。その内の2万トンを海外市場に出して、以前より1000万元多く利益を上げました。この調子で行けば、前の製品より、1年間に1億元多く利益を上げることができるでしょう」と、話しました。
今年64歳の王国棟教授は、いつも自分のことを「鉄鋼一筋の男」と呼んでいます。建国初期遼寧省の鉄鋼業が新中国の建設に大きく貢献した時から、経済の発展形態が変わってこれらの企業が困難に直面した時まで、「鉄鋼一筋」の王国棟教授は、何から何まで目にしてきました。「古くからの工業基地を振興させよう」という政策は、これらの企業に千載一遇の発展チャンスを与えました。王国棟教授は、自分の研究成果によって、これらの企業がこのチャンスをきちんと捕えることができるよう手助けをするつもりで、「私たちの力を十分発揮するには、国の需要がどこにあるのか、企業が何を求めているのか、また自分がどんな研究成果を持っているのかを考えなければなりません。私たちがやるべきことは私たちの研究と国家や企業の需要を十分に結びつけることだと思います」と語りました。
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