夫婦が離婚すれば、他人になるのは、当たり前のことですが、遼寧省朝陽市に離婚した後、全財産を使って前妻のために尽くした人がいます。穆迅さんです。彼は、病気にかかった前妻王福華さんのために、親戚からお金を借り、自宅を売るまでして面倒を見ました。穆迅さんの今の恋人も、彼のすることに理解を示し、前妻の治療のために、一緒に駆け回っています。
今年34歳の穆迅さんは、王福華さんと一緒に11年間生活してきましたが、商売のため不在がちだったことから、2人の間の愛情は冷え込みました。そして、かつての愛情を取り戻そうとしてもだめだったため、2人は、2005年5月、やむを得ず離婚を選びました。離婚調停の結果、全部の財産が、奥さんの王福華さんにわたり、穆迅さんは、10歳の娘の養育権を得ました。11年の結婚生活の末、穆迅さんには、娘以外何も残りませんでした。
離婚後、穆迅さんは、全精力を事業に注ぎました。事業が願い通り日増しに順調に進むようになりました。そして、去年7月、出張の途中で、気が合う呉暁黎さんと知り合って、恋に落ちました。
2人が新しい生活を始めようと結婚の準備をしていたところ、2005年9月16日の早朝、前妻の王福華さんから急に電話が来ました。「どうしたんですかと聞いたら、胸に腫瘍が出来たらしいって答えました。ぼかんとしてしまいました。手助けするかどうか迷いました。呉暁黎さんに電話をかけ、意見を聞きました。彼女は、『10年間一緒にいた思いがあるでしょう。助けましょう』と言ってくれました。こうして、仕事を放り出して、朝陽市に戻りました」と話しました。
王福華さんの病気は、胸に腫瘍が出来て筋肉に力が入らなくなるというものでした。医師の話によりますと、王福華さんを救う方法がただ一つ、気管を切開して、人口呼吸器を取り付けることです。しかし、こうすると、医療費は1日に5000元もかかります。農村出身の王福華さん一家は、経済的に貧しく、このままでは治療を諦めざるを得ませんでした。当時のことについて、穆迅さんは、「当時、医者が、緊急手術をやるかと聞いたので、私はお願いしますと一言だけ言いました。それで、この日1日だけで1万元もかかってしまいました。あれから、毎日の治療費は5200元かかっています。お金を水が流れるように使ってしまいました」と振り返りました。
王福華さんはずっと危篤状態が続き、穆迅さんは病室に泊まり込んで看病に当っていました。
しかし、穆迅さんと王福華さんは既に離婚しているため、難しいこともありました。そのため、穆迅さんは、現在の恋人で、山西省にいる呉暁黎さんに助けを求めました。呉暁黎さんは、電話の向こうで、長い沈黙の後、ただ一言、「いいわ」と答えました。12月12日、呉暁黎さんは、仕事をそのままに、治療費として7000元を持ち、遠い山西省から朝陽市へやってきました。
2人の献身的な看病によって、奇跡が起きました。12月20日、植物状態だった王福華さんの手が動くようになったのです。そして、2006年1月19日、王福華さんは、呉暁黎さんの助けを借りて、たどたどしいながらも、「穆迅さん、呉暁黎さん、私を助けてくれて、ありがとう」という1行の文を書きあげました。これを見て、病室で看病していた2人は涙をぼろぼろと流していました。
この日までに、穆迅さんは、治療のために既に20万元を支払っていました。そのうちの16万元は友達や親戚からの借金でした。さらに、治療さんは、王福華さんを北京の病院に入院させるため、自宅を売り払っていました。
穆迅さんにとって、今の最大の願いは王福華さんが再び立てるようになることです。時間や費用がどれ程かかっても、娘にお母さんを返してやるにはいくらでもかかります。
穆迅さんと恋人がもとの妻のために、家や財産を使い尽くしたという話を耳にして、多くの人が感動し、寄付金を寄せてくれました。彼らのおかげで、最も苦しい時期を乗り越えることができました。
今のところ、王福華さんは、まだ話すことができませんが、12時間連続して人工呼吸器を取り外すことができるようになりました。この調子で行けば、いつの日か彼女は再び立ち上がることができるに違いありません。穆迅さんは、「最後までやり遂げるつもりです。退院しても、呉暁黎さんと一緒に彼女を自宅に迎え、世話を続けていきます」と語りました。
|