11月15日付けの隔週誌『中国経済新聞』(発行元:アジア通信社)によりますと、日中両国政府は、東京の羽田空港と上海の虹橋空港間のシャトル便を来年4月から運行することで基本合意しました。実現すれば、東京の中心地から上海市街地までの間がわずか2時間に短縮されます。シャトル便の運行は10月8日、訪中した安倍晋三首相が歓迎夕食会で中国の温家宝首相に提案したもので、両首相が協議を進めることで一致し、その後、両国政府の関係部門が来年4月までに運行開始することで大筋合意したということです。
現在、上海と日本を結ぶ航路は、成田空港と浦東空港との間を旅客便が週に28往復、貨物便が週に6往復していますが、来年4月に運行予定の航路は市内へのアクセスが便利な羽田空港と虹橋空港間の運航となります。虹橋空港エリアには、上海で日本人がもっとも多く住んでいる「古北地区」や、日本領事館、上海日本人学校などがあり、また、日系企業の集中してる蘇州、無錫、昆山どの地方都市にも近いため、移動時間が大幅に短縮され、ビジネスでも観光でも現地での滞在時間が延びて、非常に便利になると期待が高まっています。
虹橋空港は上海市の西側にあり、1999年に浦東空港が出来るまで国際空港として使用されていました。しかし、その後、徐々に国際線発着枠が削られ、2002年頃には完全に国内線専用空港となり、現在は日本の羽田空港と同じ扱いです。
一方、この計画を実現するには、羽田、虹橋空港の発着枠に余裕がないこと、国内線専用として現在は利用しているため、出入国管理や税関の手続きを行うCIQ(税関、出入国、検疫)機構がないこと、そして、就航する航空会社の選定や成田・浦東空港との整合性など未解決の問題があります。
日中両国は7月の航空交渉で、両国間の航空会社の枠や輸送量を大幅に増やすことで合意し、日本航空や全日本空輸は10月以降の中国便の増便を決めています。来年は中日国交正常化35周年を向かえることから、羽田ー虹橋航路の開通は人的交流拡大に弾みをつけることになるものと見られています。
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