7月10日、日本の5大銀行は相次いで預け入れ期間が1年未満の定期預金の金利を引き上げました。また14日には、日本銀行は金融政策決定会合で、ゼロ金利政策の解除を決め、短期金利の目標を0%から0.25%へ引き上げ、5年余りにわたって実施してきたゼロ金利政策を解除しました。
日本の決定は国際的な投資家に低コスト資金を提供することが終了することを意味しています。
長い間、日本の超緩和的な金融政策は国際市場に大量の低コストの資金を注ぎ込みました。「キャリートレード」(低金利の通貨を借りて高金利の通貨などに換えて運用すること)が商品市場と株式市場で盛んに行われたことは、世界の資産バブルに一段と拍車をかけました。その大部分は新規の市場に流れ込み、これらの市場のこれまで数年間の繁栄をもたらしました。日本の今回の金利引き上げは世界的な通貨の過剰流動性を抑制することにプラスになると見られています。
同時に、日本のゼロ金利政策の解除は、日本の経済成長の基盤がすでに強固になったことを示しています。アメリカ経済の減速の兆しがますます著しくなっている中で、日本経済の景気回復は明らかに、世界経済の持続的な成長を可能にします。
こうしたことから、「もし、金利引き上げが日本経済の持続的で安定した発展を保証することができれば、中日両国の経済貿易にプラスとなり、中国経済の発展にもプラスとなる」という見方が出ています。
しかし、そうでしょうか。「日本の金利引き上げが中国にも恩恵をもたらすと考えるのは楽観的すぎるのではないか」と思います。その理由は以下の5点です。
まず、金利引き上げは日本経済の回復によるものです。しかし、これまで日本経済の回復は主に消費と輸出によるもので、外国からの輸入に対する需要の増加はほとんどありません。従って中国の過剰な生産能力を解決するためには、あまり意義があるとは言えません。
第二は、日本の金利引き上げの結果、人民元に切り上げの圧力をもたらしました。現在、中国の資本は完全に自由かしていないが、対外貿易依存度の上昇と金融開放が加速するにつれて、中国の通貨政策はますます国際市場の影響を受けるに違いありません。世界各国の中央銀行が相次いで金利引き上げのシグナルを出したことに継いで、日本が金利引き上げに踏みきったことは中国にも利上げの圧力をもたらしています。これにより、さらに多くのホットマネー(短期運用が中心の資本のこと)が中国に流れ込み、人民元切り上げの圧力をいっそう増加させることになります。
第三に、日本の金利引き上げは外資の中国への進出の規模を減少させる可能性があります。金利の引き上げにより、大量の日本投資家が手持ちの外国の株式や外国の債券を投げ売り、資金を国内に回収するようになっています。これは、中国の株式と債券への投資に影響する一方、アジアのその他の国の金利引き上げを刺激する可能性があり、中国の外資誘致の難しさを増加させることになります。
第四に、日本の金利引き上げはある程度、円高をもたらす要素があることです。日本経済が回復している背景の下で、円の国際通貨としての地位を一層強める可能性があります。従って、アジア通貨が一体化に向って進むプロセスの中で人民元はさらに大きなチャレンジに直面する可能性もあります。
第五に、日本の経済回復による今回の利上げは世界貿易の需要構造の変化をもたらし、中国経済が直面している貿易環境がさらに悪化する可能性があります。世界経済の成長が日増しに安定化している中で、日本の輸出の多くは競争力が強いハイテク製品に集中しています。これは、貿易への依存度が比較的に高い中国にとって、直接または間接的な影響をもたらす可能性があります。
以上の事から言えることは、日本の金利引き上げが中国経済にもたらす影響をいかに小さくさせ、同時に経済のグローバル化の中で日本経済の回復がもたらしたチャンスをいかに分かち合うかということが、われわれが直面している重要な課題となっているということです。
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