中国東部地域の江蘇省の無錫では「呉の文化」があり、それは2000年ほどの歴史を持っています。それを保護しようと、市政府は「鴻山遺跡公園」の建設を決定しました。鴻山は、古代の貴族の墓地が集まるところで、ここの遺跡の発見は無錫市でもっとも重要な考古学での成果とされます。
鴻山遺跡の発掘に長年担っている、無錫考古学研究所の所長で、無錫博物館の陳瑞農館長は「2002年に、考古学チームが遺跡で実地調査をし、いくつかの墓地を発掘したところ、予測どおり古代の宝物を多数発見しました」と述べました。
さらに今年2月、中国考古学の権威者、鄒厚本教授が、考古学チームを率いて15日間発掘をし、3月中旬にその結果を発表しました。鴻山の遺跡で、今から3000年ほど前の西周から春秋時代にかけてのものが発見されたのです。これによって、無錫は、「呉」の文化の源であることが改めて立証されました。
鴻山遺跡は無錫市無錫新区の鴻山鎮の東南部にあり、敷地面積がおよそ5平方キロ、遺跡の中に、墓と見られる盛り上がった土がおよそ108基あり、そのうち、春秋時代のものだと確認されたのは42基、すでに発掘されたものは7基で、陶磁器など文物2300件が発見されました。
文物の中に、磁器で作った古代楽器の編鐘の出土によって、中国の磁器製造の歴史が、改めて認識せざるを得なくなりました。これまで、磁器製造の起源はやや遅い東漢時代にされていましたが、それより少なくとも700年繰り上げた春秋時代から、磁器製造が始まっていたことが分かりました。
これについて中国文物協会の謝辰生名誉会長は、鴻山遺跡の価値を高く評価し、「鴻山遺跡での発見によって、『呉』文化の研究に多くの資料が提供された。これは地元の文化発展の研究にも役立ち、『呉』文化がどのように発展してきたのか、伺うことができる」としています。
鴻山遺跡を保護するため、無錫市政府は、中国建築設計院歴史建築研究所の陳同浜所長を責任者に招いて保護計画を進めています。
新しく出された「鴻山遺跡保護計画」によりますと、無錫は遺跡に公園を作り、本体を保護すると同時に、周りを環境を整えていくことになっていて、さらに、もっと多くの人々が見物できるようにします。
ところで、鴻山遺跡から発掘された文物を展示する無錫博物館では専門の展示室を設けて、アピールしています。中には、有名な磁器の楽器・編鐘の模造品も入っています。
地元の人々もこれらの文物を見て感激します。
見学していた李さんは次のように話しています。
「文物を紹介するテレビ番組をよく見ていますが、私たち無錫の文物はあまり見ませんでした。今回の展示を見て、無錫もほかのところに負けない、このような宝物が発見されたことを初めて知りました。誇りに思います」
見学者の中に外国からの方もいます。無錫市衛生学校に勤めているカナダ人のスタンレーさんは次のように語ります。
「無錫に来て、経済が急速に発展していることに感心しましたが、同時に文化の伝承が軽視されるじゃないかと心配することもありました。しかし、今回の展示を見て、人々は自らの伝統的文化をこれほど大事にしていることが分かりました。そして、私にとって、無錫の文化を理解する良いチャンスとなりました」。
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